sideM


給仕係が2人分の食事を運ぶ中
翔は
俺が笑っていることに嫌な予感がしてるのがわかる。

その嫌な予感は的中だよ?翔。

お前は俺の言う通りにしておけばいいんだから・・・・・




「翔」

「はい」

「仕事・・・休むよな?」

「・・・・・」

「返事は?」

「ですからそれは・・・」

「休むよな?」

「・・・・・」






うんと言わないのであれば

いくらでも方法はあるんだよ。翔。






「部屋が殺風景だから写真でも飾ろうかなぁ〜〜〜〜佐々木!」


ガタッ!


「待ってください!!!」



翔が怪我をしてる身体で血相を変えて俺の近くまで寄ってくる。

そして俺の手にしてた写真を奪い取り
くしゃっとそれを握り潰す。



「何するんだよ?」

「やめてください!」

「別にいいだろ?俺の家だ。」

「ですが・・・」

「俺が自分の家に何を飾ってもお前に関係あるか?」

「あります・・・だってこれはっ」

「これは?」

「・・・・・」

「言ってみろよ?これは?」

「これは・・・俺の・・・」





もっと困れよ翔。

困って怒って感情むき出しにしろよ?

どこまでもキレイな翔を
どこまでも汚い俺が汚すんだ。
こうしてどす黒く・・・





「言えないなら佐々木に渡して壁に掛けてもらうまでだ。」

「駄目です!それは・・・」

「それは?」

「だからその・・・」






俺は立ち上がり

翔の両頬をぐっと握り潰すようにして持ち上げ

翔が苦痛の表情になったことを見届けてから

耳元でささやく。





「お前のイッたあとの写真だろ?ちゃんと言葉にしろよ?・・・それとも何?この写真を、翔は晒して欲しいわけ?」

「ちっ、違いますっっ」

「じゃあ仕事休むよな?」

「・・・は、い。」

「くふふふ。はじめからそう言ってよ〜翔はお利口だねぇー
さ、席に戻って食事しよう?」




翔がゆっくりと席に戻ろうとする。




「佐々木!」

「はい、雅紀さま」

「この写真、壁に飾っておいて?」

「雅紀さんっ!!!!!」




佐々木に少しシワになったそれを渡す。
そして佐々木がそれを目にする。



「やめてくださいっ!」



翔が取り上げようとするも
もう間に合わず
佐々木に見られてしまった。



佐「雅紀さま・・・これはさすがに・・」

「だめかなぁ?ちょっとこの家にふさわしくない写真だよね?」

翔「雅紀さんっ!!!!!」

「じゃあやめとく〜」





翔はやっと佐々木の持つ写真にたどり着き
その写真を奪ってなおのことぐしゃぐしゃにし、
握りしめたままで下を向き
顔を上げなくなった。






翔を傷付けていいのは俺だけ。
汚していいのも俺だけ。



そうだろ?翔。






そして俺は

しばらくそのまま立ち尽くしている翔を無視して美味しい朝ご飯を食した。