それから俺と翔ちゃんは
近くのドラッグストアにローションやゴムを買いに行った。


翔ちゃんは出かける時にサングラスや帽子をかぶって多少の変装をしている。
4人の櫻井翔が別々の場所で目撃されると変に思われるから。

ピアノ教室の生徒も複数いるため、今後は出かける時、いつもそうしないといけなくなる。



「翔ちゃん、不便だね?」

「いいや。そんなことねぇよ?こんな事も出来るから。」




ドラッグストア内で急に翔ちゃんが手を繋いでくる。




「///・・・へっ、変装してるからって、関係なくない?・・・」



真っ赤になって手を引っ込め、慌ててそう言うと



翔ちゃんは楽しそうに笑ってた。








・・・で

ローションが置いてある棚に来た。


「これでいいかな?あ、これもある。」

「う〜ん」

「ネットの口コミとか見てみる?」

「雅紀のナカに入り込むモノだからさ?一番値段の高いやつにしよう?」

「///・・・ちょっ、と!!!言い方!」

「クスクスクス」






またも恥ずかしさで真っ赤になるのを自覚し、
翔ちゃんの肩をドンと押すと

また翔ちゃんは楽しそうに笑った。





「ねぇ?もしかして俺のことからかってる?」




ふくれっ面でそう聞くと




「ううん。違うよ。」




純粋な子供みたいな笑顔を向けられ





「心底楽しいんだ。
雅紀とこんな会話・・・一生ないと思ってたから。」


ふふふ
信じられねぇよなぁ〜www
これって恋人同士ってやつじゃん♪

なんて言いながら笑う翔ちゃんが幸せそうで

幸せそうな翔ちゃんを見ると
俺は胸がいっぱいになった。





これまで
どれほどの重圧の中、生きてきたんだろう?

単にドラッグストアで買い物してるだけなのに、こんなにも楽しそうに、幸せそうに笑う翔ちゃんを見て

胸が締め付けられそうになる。




ブッキーさんから聞いた話では
翔ちゃんは人一倍、責任感が強くて、思いやりに溢れてて、でも優しさは魔物たちに見せることなく、一人で闘ってきたって。




王として
幾度となく
悩み、苦しみ、種族の存続を背負い

自分を後回しにしてきたんたろう?

そんな感情が
幸せそうに笑う翔ちゃんを見て大波のように襲ってきて

俺は・・・・・




俺は言葉にせずにはいられなかった。







「翔ちゃん」

「ん?」

「翔ちゃんっ翔ちゃんっ翔ちゃんっ!」

「なんだよwww」






「今すぐ抱いてほしい!」


「はっ?!」




「ばっ、か!お前っ///」

翔ちゃんはキョロキョロ辺りを見回しながら

急いで俺の手を取り買うものを握りしめてレジに向かう。






だって・・・・・


だって翔ちゃんを今すぐにでも抱きしめたい。


抱かれたいし
繋がりたい。






「んなこと言ってお前・・・もう知らねぇかんな・・・」




振り向かずにそれだけを言った翔ちゃんの顔が赤くなってて・・・





俺はやっぱり
そんな翔ちゃんを見て




苦しくなるほどに抱いてほしくなった。