雅紀からきっとこの後、拒絶される・・・


それでも自分のずっと抱えてきてきた思いを雅紀に伝える。

そう決めてここへやってきたから・・・





「雅紀・・・」


「うん」


「ずっと・・・好きだった。」





川のせせらぎは

太陽の光を浴びてダンスしてるように波打つ。


それを目の前にしたら

不思議と

もうありのままの想いを出すように促された気持ちになった。






「いつからだろう?

誰よりも大切で何よりも大切になったのは・・・


気付けば俺の中で

自分でも信じられないくらいに宝物のように大事で護りたい特別な人になっていた。」




「今まで魔物だと知ってたのに気付かないフリをして普通に接してくれてありがとな。」




「雅紀のことが・・・好きだ・・・」







雅紀は

何も言わなかった。




あぁ・・・




遅かったんだ・・・




好きだと伝えることが出来るようになるまで何年も待たせた。待たせすぎた。もう遅い。

取り返せない時間がここには存在してる。





「『王』という立場から開放され、もう雅紀の精魂を吸い取ることは無くなった。

・・・やっと雅紀に『好きだ』と言える。

でもそんなのは俺の都合であって雅紀にとっては単に気持ちの悪いことだよな。

3体の翔が持ってる3人への気持ちはもともと俺の中にあった。3人を愛おしいと思う気持ちが存在してた。雅紀にとっては、許しがたい事実かもしれない。」




「・・・・・」




「傷付けてごめん。」




「・・・・・」




「でも俺は・・・・・雅紀だけを愛してる」



「あーー!もう!!!こんなの無理!!!!!」



「えっ・・・?」




雅紀は突然そう言って立ち上がった。




「うわぁぁぁーーーーっ!」


「まっ!雅紀ーーーっ!」






雅紀が立ち上がった拍子にバランスを崩して河川敷の斜面を見事に滑り落ちてしまった。





「大丈夫か?!」





すぐに駆け寄り

倒れてる雅紀のそばでそう言うと




「ふへへへへへっ・・・滑り落ちちゃったwww」





いつもの明るい雅紀がそこにはいた。






「翔ちゃん大好き。」


「えっ・・・?」




草と土まみれの顔で

雅紀が起き上がることもせず顔だけ俺に向けてそう言う。




「ブッキーさんに言われてた。

翔ちゃんのほうから翔ちゃんの気持ちを言わせてやってほしいって。

何年も、俺への気持ちを封印してきた翔ちゃんは、本当はずっと言いたかった気持ちがあるんだからって。まずは黙って聞いてあげて欲しいって。

そう言われてたから頑張ってリアクション取らないようにして聞いたけどもう無理っっっ。翔ちゃん大好きっ!大好き!大好き!大好きーーーーーっ!

ずっと言いたかった!もう我慢なんて出来ないよ!」



「雅紀・・・・・」