「はぁ〜」





朝起きて、大きなため息が漏れる。





俺は昨晩、不覚にも雅紀とひとつになろうとして大失敗をしてしまった。


体はもちろん雅紀に反応するんだけど、緊張のあまり魔力がうまく使えなくなり


濡らすこともできなければ

ナカの痛みを無くすこともできず


結果的に

なんの準備もしていない状態と同じになってしまった。


もちろんそんな状態で挿入できるはずもなく・・・


雅紀は痛がるし

俺はテンパるし・・・


もうなにがなんだか・・・・・






結果的に雅紀が

抱き合って寝るだけでも幸せだ


と言って

単に 2人で裸で抱き合って寝ただけの日になってしまった・・・・・







あり得ねぇ・・・・・







魔力をうまく発動できないなんてこと

あるはずがない。


繁殖の使命を終えたと言っても

魔力はみなぎっているのが自分でもわかるし 今も変わらずに力はある。


雅紀とシようとした最中も

魔力がちゃんと自分の体に宿っていることを感じていた。


ただなぜかそれを発動できない。



緊張して全然思うように行かない。



今まで何十回、何百回としてきたことなのに、情けなさすぎる・・・・・








「はぁ〜」








酷く落ち込んでいた。


それなのに雅紀は嬉しそうにしてる。









「くふふ。翔ちゃん?落ち込みすぎwww」


「なんだよ?お前・・・なんで嬉しそうなんだ?」


「え?だって嬉しいに決まってる!」


「はぁ〜?意味わかんねぇ」


「くふふ。だって、緊張して魔力のコントロールできないほど、俺に夢中になってくれたってことでしょ?

そんなの、嬉しいに決まってるじゃん!」







そうなのか・・・・?







ぽかんとして雅紀を見てる俺に構わず雅紀はなおも嬉しそうに話す。







「こんなこと言うと翔ちゃん気にするかもしれないけどさ?やっぱり・・・

これまでの行為は翔ちゃんにとって『捕食』だったんだろうな、って♪

もちろん分かってたんだ。

分かってたけど・・・本当なんだって思えて。

すげー 嬉しい。www

俺との行為はそうじゃなくて

ちゃんと愛し合う行為だから、

だから緊張して夢中になって・・・魔力のコントロールもできなかったんだと思う。」






「雅紀・・・・・」






「翔ちゃんにとって・・・

初めての体験、なんだよね?

ふふふ。俺もそうだけど。」







嬉しそうに顔を赤らめて

恥ずかしそうに笑う雅紀が可愛くて


顎を持ち上げ、唇を塞いだ。








「翔ちゃん・・・愛してる。」


「雅紀」


「胸が締め付けられるほど・・・どうかなりそうなくらいに、愛してる。

翔ちゃんのこと・・・もう一生離せないよ。」


「ふふふ。離さなくていいよ。俺も離さねぇし。」







2人で笑い合うと

味わったことのないような幸せな気持ちに包まれた。






「翔ちゃん?

昨日は無理だったしさ?今日は、もう魔力使わずにやってみない?」


「え?」


「準備も必要だし、ローションとかゴムとか買いに行かなきゃいけないし、ナカをほぐすには日数もかかるけどさ?

2人で確かめ合いながら共同作業をするのって、愛も深まるんじゃないかな、って思うんだよね。」






正直言って雅紀が提案をしてくれたことの方がいいような気がした。


シようとすると

俺の感じだと


また魔力がコントロールできなくなる気がする。






「雅紀は?それでいいのか?」





「うん。ていうか・・・」




「ん?」




「俺はどんな翔ちゃんも大好きだから。

魔力マックスの魔物の翔ちゃんもきっと好きだし

魔力の使わない翔ちゃんもめっちゃ好きだから。」




「ぶっ・・・なんだよそれwww」




「だからもし、魔力使わずに成功してさ?翔ちゃんが慣れて、そんで魔力のコントロールもできるようになったら、その時は捕食モードで俺のことを食べちゃってもいいよ?くふふ。ある意味それも楽しみにしてる。」




「まじかよwww」





「俺ね?

翔ちゃんが引くくらい翔ちゃんを好きなんだよwwwんふふ

どんな翔ちゃんもめっちゃ好きなの。

魔物モードのさ?俺の見たことのない新しい顔も・・・見たい♡

でも愛し合う初めての時は翔ちゃんと恋人同士として重なり合いたい。

欲張りでごめんね?

でもそれほど好き。落ち込んでる翔ちゃんもかわいかった。俺のために落ち込んでくれてありがとう。ホント好き!」








うまくできず失敗した次の日に


こんな風に好きって連発してくれる雅紀が




優しくて




愛おしいと思った。