その日の夕方
補導した中学生を保護者に引き渡し、
報告書も終わらせて
やっと席に戻った。
「はぁ・・・」
思わず息が漏れる。
疲れた。
今日は本当に疲れた。
椅子に座ったまま
少しだけ目を閉じる。
すると
「帰らないの?」
聞き慣れた声がした。
顔を上げる。
三宅さんだった。
「あ、もう少ししたら」
「その『もう少し』が長いんじゃない?」
「そんなことないですよ」
「ある」
思わず笑う。
すると三宅さんも少しだけ笑った。
「ほら」
ぽい、と何かが飛んでくる。
慌てて受け取る。
飴だった。
「糖分補給」
「ありがとうございます」
「感謝するなら早く帰れ」
「ひどいなぁ」
そう言うと、
「ひどくない」
三宅さんは肩をすくめた。
そして少しだけ間を置いて。
「明日もいるんだから」
さらっと言った。
・・・。
何気ない一言のはずなのに。
明日もいる。
当たり前のことなのに。
その言葉が胸に刺さった。
