悪の法則観たんだけど、これ色々言いたいことがある。結末にも触れるよ。



 リドリー・スコット監督とコーマック・マッカーシー脚本と夢のコラボなんだけど、私はこれはいまいちになったと思う。


 イマイチになった理由の一番大きい原因はアンジェリーナ・ジョリーの降板だと思う。

 最初にアナウンスされたのはブラット・ピットとアンジェリーナ・ジョリーの夫婦、そしてあとにペネロペ・クルス、最後にハビエル・バルデムとなっていた気がした。後者も夫婦でリドリーは割とそれを狙ってキャスティングしているかなと思ったがバルデムは違うんじゃないかなと感じた。バルデムの役柄はなんだかロバート・ダウニーJr.がやりそうな役だし。
 アンジェリーナの降板で出演することになったのがキャメロン・ディアスなんだけど、この役、主演なんだよね。一応主演のマイケル・ファズビンダーは狂言回しっぽい。だって最後にどうなる訳でもないし。この人の周りがどうなって行くかの話だし。


 マッカーシーは撮影を見学に来たそうだが、それは撮影終了まで続いた。つまりは脚本通りにしか撮らせなかったのだろう。

 でリドリー・スコットの代表作はブレードランナー、ハンニバルと原作を大きく無視して脚色した映画がある。特に後者は原作者がエンディングについて匙を投げるほどだった(そりゃそうだろうな)。前者は原作を超えてしまったが、これは撮影前に兄が癌で亡くなったことも大きく関係していると思う。

 そしてそれを補うテクニックがあるはずなのに、この映画にはそれはあまり大きく観られない。観るところ観れば確かに使っているけど、現代劇ではセットを組み立てなかったりしないので自由にあまりカメラ動かさないしね。

 コーマック・マッカーシーの脚本は映画を分かってないと言うか、小説家らしい脚本の書き方だなと緻密である。緻密であるが故に伏線や台詞で出てきたことを全て回収しようとするので、台詞で全て説明してしまう。これが良いと言う人もいるけど、リドリーならそれを映像で表現出来ると思うのであれだなと。

 コーマック・マッカーシーのこの映画の最大の魅力は悪の存在だと思う。だから邦題も悪の法則となっていると思うし、リドリー監督ではないが

 

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これにて悪の魅力を徹底して描かれている、マッカーシー原作の映画。ハビエル・バルデムの悪が凄い。


 そしてアンジェリーナ・ジョリーなら悪の魅力があるはずなのである。キャメロン・ディアスに騙されるならただのビッチだと思って終わりだが、アンジェリーナ・ジョリーなら彼女に騙されて殺されるならしょうがないなと思ってしまう魅力が彼女にはあるのだ。だから旦那のブラピも面白がって出演したと思う。一番面白い死に方するよね。ブラピは死に方面白い俳優だ。映画ジョー・ブラックによろしく、ファイト・クラブもそうだった。
 
 それをリドリーもマッカシーも修正できないまま、キャメロン・ディアスという演技上手くない、ブスな、もう40入った人の魅力ないクロースアップや台詞を見させられ、聞かされることになる。正直この人の存在が一番面白くないのである。他の俳優(脇役が急に目立つ、豪華な人が出ている)が面白くても中心が駄目なのである。
 

 アンジェリーナ・ジョリーだったら続編もあるんじゃないかと思うも、キャメロン・ディアスに寄っては全ては普通の映画として終わるのである。大変残念である。

 アンジェリーナが降板しなければなぁ。

 有名小説家が映画脚本やると結構ろくでもない作品になるよね。
 スティーブン・キング、トマス・ハリス、ジェイムズ・エルロイとロクな作品がない。