何年ぶりだろう

原宿駅に降り立つのは

高校生以来…?

サッと手をつなぎ、僕は彼女と表参道に向かった

何の行列だか分からないが、また何かが流行っているのだろう

そんな列を横目にしながら歩いた




彼女が目的にしていたカフェで早めのランチ

行きたいところはそこくらい

あまり多く会話もせずに店を後にした




1月14日の誕生日

彼女が求めたプレゼントは僕との時間だった

娘が生まれたのは喜ばしい事に変わりはないが、デートらしいデートを何年もしていない

ただ手をつなぎ、あれこれ喋りたいというのが彼女が求めたプレゼント

僕が仕事を休みたくないのをよく知っていての要求

休日では娘がいて、それはいつもの家族で過ごす形

それはそれで楽しいが、2人きりでデートらしいデートをしたい

正直なところ、僕としては何か物を買った方が精神的に楽なのです

仕事を休むのが、とても嫌なのです

それを知っていてでも彼女は僕との時間を欲しがった




僕との時間が欲しいと前からずっと言われていたので、今回は大奮発して作りました

にも関わらず、そんな時に限って娘が体調を崩した

「仕方ないね」

そして1月14日は過ぎた




2ヶ月経った先日

その日は夜だけ御予約が入っていて、急遽「行くか!」と娘が学校に行ってから出かけました




目当てのランチを食べたら、もう特に行くあてはない

ブラブラと神宮前を手をつなぎ歩き出しました

あまりお金も持っていません




表参道~神宮前~南青山~外苑西通り~西麻布~六本木

結構歩きました

天気はあまりよくなく、時おりパラパラと雨が降る中、僕らはテクテクと歩きました




彼女はいつになく上機嫌

いつも機嫌いい方ですが、更に上機嫌

良く喋ります

手をつなぎ歩き、娘のこと、仕事のこと、幼少期のこと、哲学的なこと…

本当に楽しそうに喋ります

そんな横顔を見て、僕は不思議な気持ちになります

これが君が望んだプレゼント???




いつもと違う風景の中、手をつなぎ歩きたい

これが彼女が望んだプレゼント

俺といて楽しいか?

そもそもコンプレックス強い方なので、本当に不思議になります




そして、本当に有り難い気持ちになります

もう46歳夫婦

幼稚園の頃からの幼馴染み

凄く長い付き合いなのに、自分との時間を欲しがってくれる

いまだに一人の男として見てくれている
※先日も「本当にオバサンと話しているみたい(笑)」と初御利用の女性に言われる始末です。まぁ…これは僕にとって褒め言葉。男くさいプライベートサロンは経営存続できません。

これはもう本当に感謝です




ここ最近、よく出てくるテーマ

「想われている」

「求められている」

「必要とされている」

これを心底実感できた時の充足感は、なにごとにも代えられない幸福感です




いつもと違う風景を眺めながら歩くと、思考も活性化されます

以前からぼんやり考えていた仕事の構想を、僕は彼女に話しました

結局、僕は仕事の話ししかできません(笑)

彼女は妻であり、仕事のパートナーでもあります

いつになく上機嫌な妻は更に上機嫌になり、興奮して話し出しました

この人といると、本当に頭にくることもあり

意見の相違もたくさんありですが、アドレナリンが出るくらいに刺激と癒しをくれる人です

僕の感情を全て引き出す天才です

こうして一緒に手を取り合い生きていける幸福を感じています
 

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