昨年末、叔父の告別式に参列しました

83歳まで現役で服飾の仕事をしていた叔父です




東京荒川区で運営している葬儀場

とても大きく、いくつも葬儀・火葬が行われていました

「大繁盛だな…」

そんな不謹慎な言葉

「この時期は浮浪者もたくさん亡くなるから…」

そんな言葉も聞こえてきました




浮浪者か…

15年前くらいの記憶が甦ってきました

当時、東京に勤めていました

茨城に住んでいると忘れがちですが、東京には浮浪者がたくさんいます

仕事を終えトボトボ歩いていると、前から明らかに浮浪者と分かる男性が歩いてくる

数十メートル先から僕を見捉え、ニヤニヤして近づいて来ました




「エヘッエヘッ、社長社長、すいません、お腹空いちゃって、エヘッ、ちょっと恵んでくれませんかね社長」

少し足を引きずり気味で、腰を屈めてペコペコしてきました

「いや社長じゃないですけど……一緒に食べますか…」

少し考えて一緒に食べる事にしました




悪趣味の好奇心みたいなものです

恵んでやろうというより、好奇心が先立ちました

すぐ近くにあるコンビニで買い物し、都内にはよくある小さい小さい公園のベンチに2人座って食べました




「旨いです旨いですよ社長、エヘッエヘッ」

「いや、社長じゃないけど…」




本当に旨そうに食べる

一気に食べてしまいそうな、はやる気持ちをグッと抑えているように見える

1口1口何回も噛みしめ「うんうん」と、時おり頷きながら食べている

次の食事にありつけるのは、いつになるか分からないからだろう

この人にコンビニ弁当は添加物が入っているとか、有機野菜がどうとか関係ない

やっとありつけた食事を噛み締めている




僕は善意のふりして嫌な奴です

「どうして今の生活になったんです?」

奢った事をいい事に、聞いちゃいけない事を聞きました




「エヘッ、青森から出稼ぎで来たんですが会社潰れちゃって、いろいろ仕事したんですが、歳も取っちゃって…見てのとおり馬鹿なんで、で、まぁ…エヘッ」

「家族はいるんですか?」

「エヘッ、まぁ…いたと言うか…」

「そうですか」




財布にあったほんの少しのお金を渡し、僕は立ち去さりました

恵んだわけではありません。好奇心を満たしてくれた謝礼です




記憶というものは突然甦り、当時感じなかった感情を抱かせる

僕と浮浪者、そんなに違うものなのか?

人間性に大きな違いはないのではないか?

少し不器用と少し器用

少しの運の悪さと、少しの運の良さ

少しの知恵のなさと、少しある知恵

それだけで人生は大きく変わってしまうのかもしれない




僕は浮浪者と同じく頭は悪いし知恵もない。ただ、運だけはいい

運だけで十分幸せな毎日を過ごさせてもらっている

なんだか世の中、やっぱり不公平かも




あの人はもう死んじゃったろうな…

こんな冬のある日、段ボールにくるまったまま逝ってしまい、やっつけ仕事みたいに火葬されたのかもしれない

やっつけ仕事みたいに、骨をガシガシまとめられたのかもしれないな

誰も見送ってはくれなかったかもしれない

そんな事をふと思い出した




告別式は叔父の妹になる母と参列しました

母と2人、こうしてまともに出かけるのは記憶にない

あまりにも早く到着してしまいました

「お腹空かないかい?」

母に聞かれました

朝食を食べないで出てきたので少し減りました

母はコンビニでドサドサと買い込み、2人で食べました

多すぎだな~と内心思いました




戦争を体験していて食べる事に困った世代の特徴かもしれません

とにかく食べさせたがります

46歳の息子でも、子供は子供

こういう機会はめったにない。母親の厚意を受け取るのも親孝行

食べさせたい気持ちを無視できません




「これ旨いね~旨いよ」、中年には明らかに多い量を平らげました

葬儀は13時からだから、食事の席はないはず。今日はもう1日食べるのはやめとこう

そんな量でした

そこから腹13分目生活に入りました




火葬中、待合室でたんまりのお茶菓子

お茶菓子というより、スイーツと言っていいくらいの内容です

普段のスイーツ好きの僕なら、ヒンシュク買うくらい食べるのですが、もう何も食べたくない腹の状況です




従兄弟参列は僕だけで、叔父叔母からしたら小学生のオサムちゃんのまま

食べなさい食べなさい

「旨い!旨いですね~」、く…苦しい…




葬儀終了

もう終わりかと思ったら、しっかり食事の席が用意されていました

またしても叔父叔母から「食べなさい食べなさい」と

叔父叔母と今度会うのは、葬儀の棺の中かもしれない。そう思うと拒否できません

「旨い!旨いですね~」く…く…苦しい

もう必死で食べました




そんな年末年始のスタートで胃袋しっかり広げ、1月4日最後の食事は、特にお腹空いているわけではないのにカレーを食べました

カレーは誰かに勧められたわけでなく、夕食だからという理由で、お腹が空いてもいないのに食べました

例年、年末年始は太るのですが、体重計には見た事ない数字が

たった6日で4.7キロも増えていました




何やってんだろう…

あの時の浮浪者の男性

凄く旨そうに、コンビニ弁当噛みしめていた

6日間、僕は浮浪者男性よりよっぽどいいもの食べていたのに、あんなに旨そうには食べてなかった

妻がせっせと用意した料理

元旦、広寿司さんのお寿司

2日は年末に大変な事があったのに、義弟夫婦が御馳走を大量に用意してくれました

なのに、あの浮浪者男性みたいに有り難く食べていない

あんなに心の底から旨いと思わなかったはずだ

何故なら、常にお腹が満たされていたからだ




朝だから

昼だから

夜だから

の理由で惰性で食べていた




胃はすっかり広がり、目の前に出されたら惰性でドンドン食べられる

自分に腹が立ってきて、6日間で増えた4.7キロを戻したくなりました




6日間、ほとんどまともな食事は摂らなかったのですが、1回だけどうにも身体が限界で食べました

残っていた白米ごはんに、冷蔵庫にあったキムチと梅干

あの時の浮浪者みたいに、はやる気持ちを抑えて、ゆっくりゆっくり1口1口噛み締めました




五臓六腑に染み渡るとはこういう事なんだろう

身体の細胞1つ1つが喜んでいるようです

ジワ~と身体に染み渡ります

旨いとかそんなレベルではない旨さ

生きている実感

食事というのは、本来こうして戴くものだ

あの時の浮浪者は、こんな感覚で食べていたんだな

豊食で常に3食たべているより、こんな旨さを味わえた方が豊かかも





ダイエットで4.7キロ増量を、6日間で4.1キロ落としました

ダイエットした理由は、あの浮浪者を思い出した事です

あの浮浪者みたいに美味しく味わなかったという、妻・広寿司さん・義弟夫婦に対する懺悔

豊食で大切な事を忘れていた自分への制裁

旨いものを出されたら、100%の精神でしっかり味わう事の大切さを、この年末年始で感じました

フェイスブックでは毎日ダイエット食生活日記を書いていまして、リバウンドやら体調不良を心配して頂けました

本音を言うと、リバウンドも体調不良もどうでもいいのです

食に対する冒涜をした、自分への制裁が1番の目的なのです





食べるという事に対しての有り難さ


本来の意味を感じた年明けになりました




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