おたがいさま | こころとからだを癒す茂原の医師のブログ

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あたまとこころとからだをテーマに
日常生活や診療での気づきを綴ります.

みなさん、こんばんは。

こころとからだを癒す

茂原(もばら)の医師 

永野 修です。

 

 

「そうか、これがお互いさまというこ

とか。そして、こんなにも安堵感が増

すものなのだな」

 

8月の中旬、18時の終業時間後に倦怠感

と顔の火照りを感じたため熱を測ると

38.3℃。これはコロナ抗原検査を免れ

ないと思い、自分自身で検査をしたと

ころ、すぐに陽性が判明。

 

「そうか、コロナに罹ったか」

 

さて、明日からの訪問診療をどうしよ

うか。オンライン診療で対応できるか

もしれないけれど、どうしても患者さ

んの自宅へ伺わなくてはならないとき

はどうしようか。1人で診療所をやって

いるのだから、代わりになる医師はい

ないし、だからといって休業にもでき

ない。ましてや療養期間中にこっそり

診察に行くこともできない。どうしよ

うか。

 

(こうなる可能性もゼロではなかった

のに開院後で忙しいからと準備をして

おかないからこんな慌てて考えなくて

はならないのだ。全くリスク管理がな

っていない。しょうがない奴だ。)

 

自分を責めながら、それだけでは事態

は変わらないことも分かっているのだ

が、責めずにはいられない。そして、

気持ちは焦ってくる。

 

「何を最初に決めなくてはならないこ

となのか。」

 

ようやくそこに思考が辿り着き、行動

が始まる。

 

「まずは医師の確保だ」

 

患者さんの急変時の往診は訪問診療で

は必要とされること。心筋梗塞や脳卒

中など1分を競って病院へ搬送を要する

ときは救急車を要請してもらうことは

あるが、とにかく、まずは自分がその

場に駆け付けたい。そんな想いで訪問

診療をやってきた。だからこそ、こん

なときでも現場には信頼のおける先生

に往診へ伺ってもらいたいのだ。

 

それならどうしようか。

 

直ぐに頭に浮かんだのは、昨年度、訪

問診療のご指導いただいた先生の顔。

 

「〇〇先生、私、コロナに罹りまし

た。」

 

「えっ、そうなの、永野先生。

そうしたら10日間自宅療養でしょう。

よし、その間の往診は私がやりますの

で、遠慮なく言ってください。何とか

します。」

 

電話で報告したところ、このように即

答してくださり、本当にうれしかっ

た。ほっとして涙が溢れてきた。

 

その後、少し気持ちを落ち着けてか

ら、訪問看護ステーションや患者さん

へコロナに罹患したことを電話報告し

て、21時過ぎに帰宅。

(訪問診療はオンライン診療に切り替

えて継続することを伝えました)

 

その日から10日間の療養が始まりまし

た。翌日には、近隣のお二人の先生に

自分の状況をお伝えし、何かあったと

きは助けてほしいと電話でお願いした

ところ

 

「永野先生、困ったときはお互いさま

だよ。」

 

在宅医療の大先輩の先生にそう言って

もらえて、また泣けてきた。

 

そして、しばらくして気づくことがあ

ったのです。

 

それは、自分の体の感覚の変化。

言葉にすると、緊張がほぐれて体が緩

み安堵感が増した感覚。

 

「自分ではどうにもならなくなったと

き助けてくれる存在がいる。」

 

それを40代も半ばを越えてようやく実

感することができたのです。

 

反対に、今までの自分は、

「自分自身で何とかする」

「他人に頼るのは自分に実力がないか

らだ」

「自分の他にこの仕事をやれるものは

いないだろう」

とか、肩ひじ張って必要以上に頑張っ

てきていたのだ。

 

もしかすると、そこまで意地を張らな

くてもよいのかもしれない。そして、

今までも自分のことを助けてくれてい

た存在も、気づこうとしなかっただけ

で、実は、沢山いたのかもしれない。

 

そう思うと、あの人もそうだな、この

人もそうだなと、次々と顔が浮かんで

きました。

 

「困ったときはお互いさま」

 

また1つ楽に生きるコツが分かったの

かもしれません。

 

最後まで読んでいただきありがとう

ございました。

 

追記:

「先生、何ごとも経験よ。コロナも罹

ってみると意外と良いこともあります

でしょう。私も幼少期に2年ほど結核で

療養したけど、とても良い経験でした

よ。」

 

90代の女性の患者さんの言葉です。

コロナに罹ったことを報告したらこの

ような返事が返ってきました。人生の

達人はすべてお見通しなのかもしれま

せんね。

 

あなたの明日が

素晴らしい一日になりますように。

 

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