親孝行のかたち | こころとからだを癒す茂原の医師のブログ

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あたまとこころとからだをテーマに
日常生活や診療での気づきを綴ります.

みなさん、こんにちは。

こころとからだを癒す

脳神経外科ドクター

永野 修です。

 

 

「おさむ、

 お父さんがお前の車を

 下取りするから

 新車を買わないか。」

 

先月、

父からこんな電話がかかって

きました。

 

父は

昨年の夏に

脊柱管狭窄症の手術を

受けていて、

それを契機に

自分の車を手放したのですね。

 

しばらくは

リハビリが必要で

運転できないだろうし、

ちょうどそのころが

車検のタイミングで

車も購入後10年を越えていて、

車検を通すかどうか考えていたし、

 

実家には、もう一台

母が使っている車があるから

必要な時はそれを使えばいいと

なったのです。

 

その後、

手術が終わり、

リハビリも順調に進み

本年の1月ころには

手術前とは比べ物にならない

くらい回復してきておりました。

(手術前は50m歩くのがやっと

でしたのに、その頃には

毎日3000m以上歩いておりました)

 

そのため

車を使って外出することが

増えてきたのです。

 

母親は仕事の通勤に

車を使うため

父とバッティングすることが

たびたびあって

お互いにストレスだったようです。

 

そこで

父は冒頭のように

私に提案してきたのです。

 

「おさむ、

 お父さんがお前の車を

 下取りするから

 新車を買わないか。

 

 お前の車も買ってから

 10年くらい経つだろう。

 そろそろ買い替えを

 考えているなら

 このタイミングでも

 いいんじゃないか。

 

 中古車を買うことも

 考えたんだけれども

 それなりに費用が掛かるし、

 

 それなら

 おさむの新車購入代の足しに

 してもらった方がいいかなって

 思ったんだよ。

 

 少し多めに出すから、

 考えてみてくれよ。」

 

さて、

この提案を受けて

直ぐに思ったことは

「えっ、今、新車買う予定ないし」

でした。

 

そして

僕はお金に関する

ネガティブなことが

頭に浮かびました。

 

それは

「自分のために

父親にお金を使わせて

しまうこと」

でした。

 

父は

昨年夏で退職して

現在は年金暮らしなのですね。

 

その父から

お金を支援してもらうことに

抵抗があったのです。

(申し訳ない気持ち(罪悪感)が

 湧いてきたのです)

 

なぜなら

幼少期から

思っていたことがあって、

 

それは

大人になって働きだしたら

親から支援がなくても

生活していけるような

稼ぎを得たい。

むしろ

親を助けられるようになりたい。

(これは幼少期に出来上がった

 自分の価値観ですね。)

と思っていたのです。

 

実際に

妻と息子3人の5人で暮らすには

十分なほどの収入を得られている

ことや必要であれば両親を

サポートできる体制にあること

(幼少期の願望を満たしている

こと)に満足している気持ちも

ありました。

 

きっと

数年前の自分であったら

「僕のために

 お金を使ってもらわなくても

 いいからさ。

 父さんの気に入った中古車を

 買ったらいいじゃない。

 なんなら新車でもいいかもよ。」

 

なんて

いいながら、

さらっと申し出を断っていたと

思います。

 

ただ

その後

『父と息子の不思議なつながり

 その2』

https://ameblo.jp/osamu3150/entry-12442958798.html

 

に書いたように

セミナー受講をきっかけとして

実は父親からの愛情を

自分はたくさん受けていたこと

そして

僕も父親が大好きであったことに

気づいたものですから

 

今回のことについて

少し考えてみたのです。

 

「もし自分が父親の立場だったら

 息子にどうしてもらったら

 嬉しいだろうか。

 

 父親はどんな気持ちで

 僕にこれを提案しているの

 だろうか。」

 

当初は

「えっ、今、新車買う予定ないし」

 

なんて

当惑してしまったけれど

 

やはり

これって父親から息子に対する

愛情の表現なのかもしれない

と思うように変わったのです。

 

そして

父に喜んでもらいたい

そして

親孝行をしたい

 

という思いから、

 

40歳を越えた

社会人として

きちんと稼ぎがある息子

であるにも関わらず

 

親にお金を使わせてしまう

といった罪悪感も

残っていますが、

 

ありがとう、

うれしいなって

優しいこころになって

今回の父親の申し出を受ける

ことにしたのです。

 

そして

今回のことを経験して

親孝行って

いろんな形があるのかも

しれないなと思ったのです。

 

僕は

自分が親にしてあげたいと

思って行動すること

(プレゼントをあげたり、

 食事に誘ったりするなど)

がそうなのだろうと

考えていたけれど

 

親が息子にこうしてあげたい

という思いを

よろこんで受け取るのも

もしかしたら

親孝行なのかもしれませんね。

 

最後まで読んでいただき

ありがとうございました。