科学者としての役割 | こころとからだを癒す茂原の医師のブログ

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あたまとこころとからだをテーマに
日常生活や診療での気づきを綴ります.

みなさん,こんにちは.

 

こころとからだを癒す

脳神経外科ドクター

永野 修です.

 

 

「私たちは医者であって

   科学者でもあるのですよ」

 

 

私が

医師3年目の時に

上司から言われたことを

ときどき思い出します.

 

なぜ

印象に残っているのかと言えば,

 

私のなかで

 

“科学者”

とは

 

試験管とか薬瓶とか顕微鏡とかが

たくさん並んだ研究室で

白衣を着て,ひとりで

実験を繰り返しする学者のこと.

 

そんなイメージを持っていました.

 

「科学者ですか?」

 

その時,

私は思わず

聞き返してしまいました.

 

私は

病院で患者さんの治療のため

毎日忙しく働いていて,

 

そんな自分と,科学者の姿が

かけ離れていたからですね.

 

上司は続けて,こう話してくれました.

 

「私たち医者は

毎日たくさんの患者さんを治療して

いるでしょう.

そして,

その結果が一層良くなるように

一生懸命,取り組んでいるよね.

 

それを,そのままにしないで,

治療の効果のデータを集計して,

検証して,その結果を

学会や医学論文で

報告していくこと,

それが臨床研究であって,

それを意識して診療することが

大切なのだよ.

 

そして,

その結果を,公表すれば,他の医師

から評価を受けるでしょう.

そうしたら,その治療方法がさらに

改善されて,もっと患者さんの

役に立てるよね.

 

そして

その研究者マインドを持つことが

科学者という意味なのだよ.」

 

その時から

自分は

 

“科学者”

 

と思うようになりました.

 

そして

それ以降,

私はその事を意識して

診療するようになり、

治療成績を学会で講演したり,

医学論文として報告したり

するようになりました.

 

現在までに

200近くの講演を学会で行い

10編の論文を書いています.

 

そして

 

今週は,10月10日から12日まで

日本脳神経外科学会 第77回学術総会

http://jns2018.jp/

に参加します.

 

本会は

脳神経外科領域の疾患全てが

網羅された最も大きな学会です.

(小さな学会は,ほぼ毎週末,

国内のどこかで開催されています)

 

昨年の本会では

3日間の開催期間で

参加者 5700名,

演題総数2500演題が

11会場で講演されました.

 

そして

私が毎年参加していて

思うことは,

“参加者の熱気がすごい”

のです.

 

会場に入ると

溢れんばかりの脳神経外科医師が

いて,皆,真剣に講演を聞いて

います.

 

1人当たり10-20分程度の講演

時間が割り当てられていて,

そのセッション(時間割みたいな

ものです)のテーマに沿って

各々の先生方の臨床研究が

報告されます.

 

 

その後は

質疑応答の時間で

その演題に対して聴衆の先生方から

質問がされます.

時には厳しい批評もあります.

(ですから自分が講演するときは

ドキドキなのです.)

 

そして

学会は

講演を聞くこと以外にも

交流の場でもあるのですね.

 

周知の先生と

近況を報告しあったり

 

同じ専門領域を

診療している先生と

新しい治療や

臨床研究のことを話してみたり,

(実は,こういった時に

新たなアイデアが生まれたり

するものです)

 

憧れの先生(神の手を持つ先生など)

に,緊張しながら挨拶してみたり,

 

日常の診療とは異なった経験が

できるのです.

 

今年は

どんな学びや出会いがあるのか

楽しみにしています.

 

そして

その経験を

次の患者さんの診療に

生かして行きたいのです。

 

最後まで読んで頂きありがとうございました.