マヨネーズ発祥の地 | スペイン好きですか?

マヨネーズ発祥の地

4月2日(金曜日)

 

 今年のイースターは、何度も繰り返すようですが、新コロパンデミックで移動制限が掛かっていますので、せっかくの連休に週外に出る事が叶わず、悶々としている人が多いようで、今日もそんな一人のスペイン人の友人から、ランチを一緒しないかと連絡があり、PRINSIPEP-PIO駅のショッピングモール内のレストランに行ってきました。

 そこで、ひょんな事から料理に添えられたマヨネーズの話になり、友人は、「こんな素晴らしい味を作り出したフランス人に感謝だね」というような感想を漏らしました。

 ことマヨネーズについては、ある経験から一家言をもつ私は、「とんでもない、マヨネーズ発祥の地はスペインだ」と自説を述べると、怪訝そうな顔をするので、その故事来歴を丁寧に説明しました。

 

 最初にお断りして置きますが、犯罪の捜査においては、状況証拠だけでは公判の維持が難しく、揺るがしようのない証拠がないと有罪にはなりませんが、この種の話は、大方の人に納得してもらえる状況があれば良いと思っています。

 状況というのは、マヨネーズというのは、紛うことなくフランス語でありアメリカや日本でも広く認識されています。ただ、スペイン語ではマオネサと言い、語源は地中海に浮かぶバレアレス諸島の中の一つメノルカ島のキャピタル、マオン(Mahon)に由来します。

 ナポレオンが同島を訪れた際、同行していた軍の高官から、皇帝はことさら珍しいソースを喜ばれるので、本島でも心されたし、というお達しがあり、工夫して作り出されたのがマヨネーズ(マオネサ)であり、マオンで作られたものという意味でマホネサと呼んだようです。マオネサはスペイン語独特の分類では女性形ですが、男性形ならマオネースとなり、さらにマヨネーズの発音に近くなります。また、商品名としてのマオネサは「mahonesa 」ではなく「mayonesa」と表記され、辞書にもそのように記されます。

 ナポレオン云々については、あくまでも伝聞であり、事実かどうか不明ですが、私の自論を強固にした事例がありますので、以下に記してみます。

 もう大分前のことですが、ある日、マヨネーズ生産では質量ともに日本一を自他共に認めるキューピーマヨネーズ社から私のところに、メノルカ島のでカレンダー制作に関する取材をしたいので、是非とも段取って欲しいとの依頼が入りました。

 現在はどうかわかりませんが、当時は、同島でマヨネーズ作り全国大会が催されており、マオンに住むご婦人が2年連続で優勝されているということまで、キューピー社のスタッフは調査済みでした。

 アポイントを頂いた上でご婦人のご自宅を訪ね、マヨネーズ作りの秘法(レシピ)を、企業秘密だと断られるのを覚悟でお尋ねしたところ、快く引き受けて頂けました。

 お話によると、メノルカ島に住む黒い鶏の産んだ卵と同島産のオリーブの油を使用することが基本、ということで、酢や胡椒なども加えるようでしたが、その割合などについての言及はなかったので、レシピというかヒントを頂いたという事でした。

 

 まずは、黒い鶏を見つけるため島中を駆け回り、やっとの思いで発見、写真映えするようにと、緑の扉を持つ農家を見つけ、いざ撮影となると逃げ回る鶏を必死に追いかけ、ついにはテグスで足を縛り撮影に成功しました。後日、この黒い鶏はカレンダー(何月だったか失念)を飾ってくれました。

 夕食は、ご婦人が丹精込めて作ってくださったマヨネーズを、ボイルしたアメリカン・ロブスターに掛けた豪勢なもの、不味かろうはずはありません。

 

 キューピー社のスタッフは、マヨネーズ発祥の地については諸説ありますが、我々は、わざわざ足を運んできたように、メノルカ島のマオンがその地である、と確信しています。と言っていました。

 これ以上の状況証拠はありませんね。

 こんな話を聞き終えた友人も深く頷いていましたので、マヨネーズについては、新たな思いを持った事と思います。

 さらに、この話に出てくるキューピー・マヨネーズはスペインでも日本食品店や中華食品店でも販売していると教えましたので、おそらく買いに行く事でしょう。

 

 注:

 マヨネーズのスペイン発祥説については、以前にも似たようなことをブログアップしているように思います。