『ダブル・ビジョン』の脚本家、スー・チャオビンが監督したサイエンス・ホラー。死後の世界に取りつかれた男が、ある悲劇をたぐり寄せる様をスタイリッシュに見せる。キャストは『ブレス』のチャン・チェン、「白い巨塔」の江口洋介、『カンフー・ダンク!』のチェン・ボーリンら国際色豊かな面々が集結。謎を追っていたはずの登場人物たちの立場が一転、逆にじわじわと彼らを追い込んで行く何者かの気配に身の毛もよだつ。
天才物理学者の橋本(江口洋介)は、かつてさまざまな電磁波を吸収可能な“メンジャー・スポンジ”を発明する。その後彼は台北で研究班を組織し、廃虚の団地の一室で少年の幽霊を閉じ込めることに成功する。彼はまったく見当がつかない少年の過去を探るため、腕利きの刑事イエ・チートン(チャン・チェン)に協力を求め、捜査を始める。こんなアプローチの仕方もあったんだなぁと、ちょっと関心した映画。「メンジャースポンジ」なるものを作り、霊を捕獲するなんてけっこう斬新だ。しかし、江口のステレオタイプなマッドサイエンティストや言葉が統一制がない(中国語と日本語が交互にあるので聞き辛い。)直線的なストーリーは、もう一工夫欲しいところ。台湾映画独自の空気が出ている作品で、それが悪い方向に作用してしてしまっている気もする。話は、なかなか引き込まれるので「台湾」「日本」「フランス」合作なら、面白い作品になったんではなかろうか?ハリウッドにすると、宗教的なものや概念で、完全なB級作品へと変わってしまうかな。