イースタンプロミス | 元レンタルビデオ屋店長の映画感想

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イースタン・プロミス

 「ヒストリー・オブ・バイオレンス」のデヴィッド・クローネンバーグ監督とヴィゴ・モーテンセンが再びコンビを組んだ戦慄のバイオレンス・サスペンス。ロンドンの裏社会を舞台に、ひょんなことからロシアン・マフィアを敵に回してしまった女と、ロシアン・マフィアの一員でありながら非情さと優しさを併せ持つ謎めいた男の奇妙な心の交流を描く。共演は「マルホランド・ドライブ」「キング・コング」のナオミ・ワッツと「クリムゾン・リバー」のヴァンサン・カッセル。
 クリスマスを控えたイギリス、ロンドン。助産婦のアンナが働く病院に、10代の幼い妊婦が運び込まれる。少女は、女の子を産んだ直後、息を引き取った。少女のバッグからロシア語で書かれた日記を見つけ出したアンナは、孤児となった赤ちゃんのためにと少女の身元を調べ始める。ロシア語の分からないアンナは、挿まれていたカードを頼りにロシア料理の店を訪ねる。そしてその店の前で、運転手だという謎めいた男、ニコライと出会うアンナだったが…。

久しぶりに見応えのある骨太なクライム・ムービーだった。


-イースタン・プロミスとは-

英国における東欧組織による人身売買契約のことを指す。サウナやマッサージ・パーラーで体を売る約7,000人の娼婦、うち8割の女性は東欧、バルト海沿岸のリトアニア、エストニア、ラトビアなどからウェイトレスあるいは掃除婦として連れて来られた女性たちだ。そこには東欧の暴力組織が介在している。彼女たちを英国に入国させ、売春婦に仕立てるためにパスポートを取得させるのだ。彼女たちは暴力に脅かされ、また逃げ出せば故郷に住む家族を死に至らしめるという脅しも背負うことになる。売春婦に仕立てられると、東欧の暴力組織から英国地元の暴力組織へと商品のように売られるという。

脚本のスティーヴ・ナイト(堕天使のパスポート)の丹念に調べ上げられた(ロンドンとニューヨークで犯罪者に会って話を聞くために情報収集を始め、ロンドン市警やウエストエンドにあるロシア関連機関、合衆国FBIにまで問い合わせたらしい)脚本と、クローネンバーグ監督の独自の重い空気が漂う演出。そしてヴィゴの完璧な演技は、見る者を圧倒すると思う。クライム・ムービーのエンタでありながら深い精神性もあり傑作だった。

少し気になる点を上げるなら、演技が悪いのか脚本なのか分かりませんが、いまいちナオミ・ワッツが薄っぺらい感じで感情が巧く伝わってこなかった。

劇場でおばさんが、「ヴィゴじゃなかったら、こんなマニアックな映画見に来ないわよね~」と言っていた。・・・んーヴィゴ目当てでくる人も多いんだな。そんなヴィゴ好きおばちゃんの感想は「難しくて意味分からなかったわ」でした。