。まぎらわしい。

1971年に生まれ2003年まで僕の名前は佐々木収だった。

名前の説明をする時も「収入(しゅうにゅう)」の「収(しゅう)」です。と言えば、誰にも通じた。

ところが僕の本当の名前表記は「收」。「収」の旧字体だ。

たしか今から5年くらい前住民票発行の届け出をした時に役所の人に「名前が間違ってますよ」と指摘され初めて自分の名が「収」ではなく「收」だったことが発覚したのだ!

ずっと自分の名前を間違えて書いて来た。受験もこれで通ってたし、銀行の口座も契約書も保険証も全部!

最近父に会った折にどうして自分の名前を正しく教えてくれなかったのか聞いてみた。

僕が生まれた時、父が僕に「收」と名付け、役所に出生届を出したところ、役所の人に「收」は人名漢字じゃないから当用漢字の「収」に修正するように言われたらしいのだが、父はそれを聞いて役所の人に「それじゃ修正しておいて下さい」と言っただけだったらしいのだ。

役所の人に修正できる権利あるわけないじゃないか~。

父本人にしか修正できないはずなのに~。

というわけで、父からしてみれば、「收」はだめだったから「収」で届けたということで落ち着いていたらしい。

なので父も驚いていた。

間抜けな話である。

ここからはあくまで僕の推測だが、おそらく役所の人は「」じゃだめだよって言ったのに、父親が修正して届けを出さなかったから、「まあダメもとでで出してみようか」って出したら、ちゃんと市に出生届が受理されたってだけのことなんでしょう。

それにしても31年間も自分の本当の名前を知らなかったなんて!

それがわかってから僕に関わるすべての名義を変更した。面倒臭くて大変だったけど。
2003年のアルバム「アルチメイト・オア・インコンプリート」から作詞作曲のペンネームを変えることにした。やっぱり本名を名乗りたかったのである。

でも今は自分の名を人に伝えるのは難しい。

「収入」の「収(しゅう)」の「つくりがのぶんになってます。」と言って通じたことがまずない。
「収入」の「収(しゅう)」の「左っかわがそのままで右っかわが牧場(まきば)の牧(まき)の右っかわです。」と言ってはみてもなかなか通じず、結局「じゃあ収入の収でいいです。」と言ってしまう。

たいていは大丈夫なのだが中には「收」っていう漢字がコンピュータに入ってませんでした。と言い訳され「佐々木収」という表記になっている診察券もある。

事務所の社長から送られてくるメールも未だに「佐々木収」のままだ。(こんど社長に会った時僕の名前の登録の仕方を教えなくちゃ)

まあただの名前さ。記号さ。大事なのは人柄さ。
ちょっと僕が自分の名前に神経質にこだわり過ぎました。気にすることはないのにさ。

でもやっぱり不便だ。できることなら「佐々木収」でいたかった。シンプルで説明しやすいのが一番だ。

それかデビューする時、何か芸名つければよかったなあ。

『サム』とか(笑)