メリークリスマス、藤村です。

 

今回はずっと謎に思っていた、「私立大学が留学生を誘致して補助金で延命」説をちゃんと検証してみようという試みです。

 

 

 

 

これらに限らずとも、「本来潰れるような私立大学が、留学生を誘致すると、国から補助金が下りてきて、それによって延命している」説は見たことがあるんじゃないでしょうか。私はあります。

しかしそのどれもが、具体的にどのような補助金があるのか、については全く説明してくれません。

一次データを示して説明する、ってのはネトウヨにとって至難の業なのでしょう。そのための知性が無いからね。

 

しかし、私立大学の補助金とやらの計算式、ちゃんと調べれば載っています。一次データをまとめてみますね。

 

 

1.留学生一人当たりで受給できる補助金

 

 

いわく・・・

 

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①当該大学等の受入学生数に学生 1 人当たり 30 千円(別科の場合は、学生 1 人当たり 10 千円)を乗じた額(A)を算出する。
②外部奨学金を獲得した学生数に学生 1 人当たり 10 千円を乗じた額(B)を算出する。
③(A)及び(B)の合計額を増額する。ただし、40,000 千円を限度とする。 

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とのこと。

留学生一人を誘致すると、年間3万円~4万円の補助金がもらえるようです!

・・・え?これだけ?・・・計算、あってる??

当然ですが、大学法人という巨大企業にとって、一人当たり年間3~4万円は・・・極めて微々たるものです。

そもそもその留学生、年間100万円とか学費払ってるんですよね・・?

 

2.留学生受け入れ態勢そのものへの補助金

 

 

留学生受け入れは全般としてお金がかかります。

受け入れと支援の体制(送り出しの体制含む)に対しての補助金は、

 

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表11に掲げる各区分の取組の実施1件当たり300千円を乗じて得た額(A)を増額する。ただし、当該 年度の5月1日現在の収容定員が4,000人以上8,000人未満の場合は、実施1件当たり600千円、 8,000人以上の大学等においては、1件当たり1,200千円を乗じて得た額とする。なお、収容定員に は、大学院の研究科(大学院大学を除く)、夜間部、通信教育部及び短期大学設置基準第19条に定める授業 を行う時間について教育上特別の配慮を必要とする学科を除くものとする。 また、国際的な認証評価機関から認証を取得している大学等については、(A)の額に10%を増額する。

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・・・受け入れ態勢など、上の表のうち6項目以上を満たした大学が、1項目あたり30万円(大規模大学の場合1項目辺り60万円、超大規模大学の場合1項目辺り120万円)とのこと。

 

たとえ10項目満たしても、年収が+300万円~1200万円になるだけです。

・・・うーん、留学生受け入れ用スタッフをちょっと配置しただけで溶けそうな予算規模ですね・・・。

 

3.授業料減免への補助

 

 

外国人留学生への授業料減免をした場合、もし全額免除をしたら15万円補助するし、もし半額免除したら7.5万円補助するよってところですね・・・

私立大学の年間学費は100万円前後するので、雀の涙もいいところ。

 

私立大学としても、年間100万円の学費を免除して15万円の補助金を受け取ったところで、差し引き85万円減収になっているので、よほど優秀な留学生でもなければ、その制度の対象とすることはないものですね。

 

4.まとめ

留学生を受け入れることでの補助金とやらは以上のみです。

いかがでしょう、とてもじゃないですがこの補助金で「私立大学が延命」できるほどの規模ではないのは明らかですよね。

留学生受け入れ態勢への補助金は人件費と相殺、留学生受け入れへの補助金は1人当たり年間3万円~4万円。授業料免除への補助金は本当に雀の涙。

 

そして、留学生の支払う学費はそれに比べて巨額です。

1人当たり年間100万円前後の学費収入があるわけです。補助金の数十倍ですね。

 

私も、留学生を誘致して「その留学生のポケットマネー、学費によって」私立大学が延命されている側面はあるかもしれないと思います。

しかし「税金・国費・補助金によって」私立大学が延命されているという側面は、それに比べて極めて弱いです。数十倍弱いですね。

 

私も、のべつ幕無しに留学生を受けれいたらいいとは思いません。

数値目標ばかりを先行させて留学生を受け入れ、経済支援をおろそかにして、留学生がバイト漬けになるとかいう状況は何とかすべきと思います。

 

しかしお金面に限って言うと、

留学生は、留学生のために投じられる国費以上の税金を納め、

留学生は、留学生のために投じられる国費の何倍ものお金を日本に落としています。

 

反論は受け付けますし、私もファクトの精査が甘いところがあるかもしれません。

「全然違う、こんな数字が出てきたぞ」などあったら、ご教示ください。