ごきげんよう、藤村です。
この間騒がせている「外国人留学生を30万人計画以上に受け入れよう政策」(仮称)について、ちょっとちゃんとまとめないとと思いまして、そんな記事です。
(1)おさらい
「岸田総理大臣は永岡文部科学大臣に対し、年間30万人の外国人留学生の受け入れを目指す政府の目標を抜本的に見直し、さらに留学生を増やすための新たな計画を策定するよう指示しました。」
「また、外国人留学生や海外の大学などを卒業した日本人留学生が、卒業後に日本で活躍するための環境整備や、教育の国際化を促進するための方策についても検討を求めました。」
とのこと。
それによって「外国人留学生より日本の学生優先!」などのツイートを最近よく見るようになりました。
果ては、なんと国民民主党が代表質問で扱うまでになってしまいました。世も末。
外国人留学生より日本の学生優先を!に共感の方はRT#DOJ
— FUKUDA MAKOTO 【DOJ🛡No.0001】 (@8ueBd6tf29iYRpZ) October 7, 2022
玉木代表「学生、大学院生『岸田総理は、外国人留学生の受け入れ支援を拡大するようですが、それなら日本人の学生をもっと助けて欲しい!』という切実な声です!」
教育国際に消極的で増税も匂わす発言をする岸田総理💢#教育を取り戻そう pic.twitter.com/9UkVan7TEh
なんとまあ…この「外国人留学生デマ」が代表質問でも使われるまでになってしまったか…という思いです。
ということで、この問題認識がいかに間違っており、いかに玉木がファンタジーに生きているか、が今回の記事のテーマです。
無知性と無理性の極み、ネトウヨの知能をご覧あれ。
(2)外国人留学生を増やすことで日本の国費投入が増えるのか
これが問題の争点です。外国人留学生を増やすってことは、外国人留学生のために日本の税金を使うのか…嫌だな…と思う方がいるってことですね。
じゃあ、「外国人留学生を増やすことで、具体的に何億円税金の投入が増えるのでしょう??」
これが重要な問です。
高等教育在籍者数(青)、国費留学生の数(紫)に着目して頂きたいです。
高等教育機関に在籍する外国人留学生の総数は、
1990年の41,347人、2000年の64,011人、2010年の141,774人、2020年の218,783人と、極めて多くなってきたのが分かるでしょうか。30年間で約5倍です。
一方、国費留学生の数はどうでしょう?
1990年の4,961人、2000年の8,930人、2010年の10,349人、2020年の8,761人…。30年間で約2倍弱といったところ。
特にこの20年間ほとんど増えていないどころか減っています。
また、もう一つの留学生向け奨学金である、私費留学生学習奨励費はどうでしょう?といってもそこまで昔の数字はインターネットの海から見つけられませんでした。
2002年の10,900人、2010年の12,831人、2018年の8,467 人といったところ。
少なくとも増えてませんね。金額も確認できる限りで、
7.3万円(大学院)と5.2万円(大学学部)(2004年時点)
7.0万円(大学院)と5.0万円(大学学部)(2005年~)
6.5万円(大学院)と4.8万円(大学学部)(2009年~)
4.8万円(大学院)と3.0万円(大学学部)(2015年~)
と減少の一途です。
以上から導き出される仮説はこうです。
岸田・自民党が留学生の数を増やす政策をしようとも、それは「国費留学生の数が増える」「私費留学生学習奨励費の枠を増やす」形ではやらないだろう。
そして何より、自民党自身がそう言っています。
「『国費で外国人留学生を増やすのではないか』といった、誤解がSNS上で広がっています。」
以上より、先ほどの仮説「岸田・自民党が留学生の数を増やす政策をしようとも、それは『国費留学生の数が増える』『私費留学生学習奨励費の枠を増やす』形ではやらないだろう。」は真と見て間違いないですよね‥??
となると、最初の問「外国人留学生を増やすことで、具体的に何億円税金の投入が増えるのでしょう??」の答えは、
「ほぼゼロ億円」ということになります。
少なくとも、奨学金という形ではゼロ億円、と言って過言ではないかと。
(3)じゃあ日本の国費は・・・
ここが私から皆さんへの問です。
留学生たちは仕送りやバイト、あるいは獲得した奨学金によって消費税を払います。
月間1万円と概算すると12か月で12万円、1万人受け入れたら1万×12万円=12億円、日本の税収が増えるのです。
今30万人の留学生がいると概算すると、年間360億円。
国費留学生への予算が年間約180億円ですから、留学生を招くことによって、その倍の国費を獲得しているのです。
また私費留学生たちは、それこそ莫大な学費を払います。
年間100万円を1万人が支払ったら100億円。かなり雑に30万人の留学生と仮定したら3,000億円が、日本の企業に落とされるのです。かなり雑ですが。
こうなると最初の問「外国人留学生を増やすことで、具体的に何億円税金の投入が増えるのでしょう??」の答えは、更に変わってきます。
税金の投入どころか、留学生が日本に落としていくお金の方が莫大である、という答えになります。
ネット上には留学生政策について「日本ばかりが税金を投入している、国費を投入している」的な言論が多く見られますが、
私はそもそも「日本ばかりが税金を投入している、国費を投入している」という認識は根本的に誤りだと認識しています。
皆さんはどう認識していますか?是非お聞かせください。コメントをお待ちしています。
(4)おわりに
国民民主党・玉木代表の「学生、大学院生『岸田総理は、外国人留学生の受け入れ支援を拡大するようですが、それなら日本人の学生をもっと助けて欲しい!』という切実な声です!」
の発言についてですが、
そもそも「受け入れ支援を拡大」にかける予算はゼロ億円です。ゼロ億円を「日本人の学生をもっと助け」るために使っても何も発生しません。ゼロ億円なので。
紹介したツイートで「外国人留学生より日本の学生優先を!」と書いていますが、ゼロ憶円を日本の学生に優先しても何も発生しません。ゼロ憶円なので。
玉木もおそらく、外国人留学生が優遇されている!!外国人留学生に使われる国費を日本人に回せ!!と気炎を上げつつネトウヨ票をかっさらおうとしているのでしょうが、無知能と無知性と無理性を代表質問でひけらかすという、人生の恥をベタ塗りした結果を生みました。
ネトウヨのデマに踊らされるとは、なんと哀れなことか。心の底から軽蔑を。