藤村です。
参議院選挙が近いのでもう一つ書いてみることにしました。
最近、またアクセスカウンターが不気味に荒ぶっています。
↓私のブログへ到達するまでの検索キーワードがやっぱりやヴぁい
で、今回はこちら。
(以下引用)
日本でアルバイトをする中国人留学生に適用されている給与の免税措置の撤廃に向け、政府が日中租税条約の改正を検討していることが(2022年6月)25日、分かった。(中略)
雇用先の企業を通じて必要な届け出をすれば、生活費や学費に充てるためのアルバイト代は源泉徴収の対象とならず、課税されない。
(以上引用)
ふむふむ、中国人留学生のアルバイトにおける所得税免除をなくす、と。
そしてこれを好意的に解釈する声がネトウヨ諸兄から上がっているようです。
地獄のようにクソのような話です。
何がどうしてクソなのか。
1.「103万円の壁」
というものを聞いたことがあるでしょうか。
学生がアルバイトなどで103万円以上の年収を得てしまうと、所得税が生じてしまうということです(勤労学生の場合は130万円)。
しかし一般的に、学生の多くはこの103万円の壁を意識すらしていません。
理由は二つありまして、①103万円稼ぐのが難しい、②103万円が必要なケースはそこそこ珍しい、ということです。
①ですが、
そもそも学生が年間で103万円も稼ぐとなると、それはそれは相当な努力を必要とします。時給1030円で1000時間働いてようやく到達できる領域です。週20時間のバイトを50週間(しかも単位を落とさないようにしながら)と考えれば、その壮絶さは分かるかもしれません。
②ですが、
私の知っている学生の範疇では、「親が年収あるけど学費とか出してくれない」「親と仲が悪くて生活費を出してくれない」「フルで奨学金を借りて、さらに必要」という方がいました。そういった理由があれば、自力で103万円を稼がないとならないかもしれませんが…多数ではないですよね。
学生支援機構の調査ではアルバイトの平均収入は40万円といったところだそうです。
しかし、103万円の壁を意識せざるを得ない学生は、実際に私の友人にいました。
だいたいバイト漬けもバイト漬けで、夜23時半まで働いているとか、週6でバイトを入れているとか、そういった方々でした。
精神的にも身体的にも単位的にもしんどそうだったのをよく覚えています。
私の結論は、そんな学生の103万円の壁(そして130万円の壁)なんてものは無くしてしまえ、学生からそもそも所得税を取るのはやめろ、です。
あるいは、とても簡単な手続きだけでその103万円の壁を200万円、300万円まで拡大するようにしろ、です。
103万円以上稼いでいる学生は、多くが稼がざるを得ない学生です。困窮している側の人間です。103万円以上稼ぐと税金まで取られるのは、死体蹴りも良いところです。
税収は微々たるものでも、更に身を削ってバイトをするか、103万円の壁の前に涙を飲んでバイトを減らして節約生活するか。いずれにしても、さらなる学業への支障を生みかねないものです。
なので今回の「中国人留学生は所得税が」の話が出てきた時、これを機に学生全体の所得税問題がなんとか解決されないかな?と思ったのですが・・・・
2.免税規定
もう一度先ほどの産経新聞より引用。
(引用ここから)
日中租税条約は1983(昭和58)年に締結された。同条約の21条では、教育を受けるために日本に滞在する中国人留学生が生計や教育のために得る給与を免税扱いにしている。雇用先の企業を通じて必要な届け出をすれば、生活費や学費に充てるためのアルバイト代は源泉徴収の対象とならず、課税されない。
(引用ここまで)
中国人留学生は「103万円の壁」を突破しても、所得税課税対象とならないことに、この間多くのネトウヨやネトウヨ議員が激高しているようです。
もう少し意義のあることをしたらいいのに。賽の河原の石積みとか。穴を掘って、またその穴を埋める作業とか。
さて、年103万円稼ぐのが非常に困難なのは、留学生も同じことです。日本にせっかく来たのにバイト漬け、なんてのは勿体なくてたまらないことです。
(もちろん、学費が免除される国費留学生は全留学生の3%に過ぎず、大多数の留学生が多額の学費を納めているってのは皆さんご存知ですよね。)
私の意見としては、留学生の一部に免税規定があり、103万円の壁(=つまり死体蹴り)がされていないのは、とても良いことです。
そして、善意ある、日本の国益をしっかり考えられる皆さまならきっと、「その制度を学生全体にも広げていって、学生の死体蹴りを少しでも無くそう、103万円も稼ぐなんて一部の本当に大変な学生なんだから」と考えてくれると確信しています。
しかし現実はそうではなく、地獄のようにクソな議論を振りかざす連中がいらっしゃるようなのですけどね。
「中国人留学生から所得税を取れるようになったぞ!」と下劣な笑いを浮かべているようです。
私はまだ、「いや、中国人留学生から所得税を取るより、学生全体から所得税を取るのをやめようよ」
と言っているネトウヨを見てません。
先に結論から言いますが、これは日本の国益につながりません。
留学生は日本に来た以上、学業にしっかり集中して、日本に留まるなり祖国に帰るなり橋渡しになるなりすること、が理想です(学生全般がそうなのですが)。しかしそれとは逆行する考え方ですね。
これをしても、別に日本の学生の死体蹴りが無くなることはありません。
これをしても、どうせろくな税収は見込めません。
これをしても、バイト漬けの留学生がさらにバイト漬けになるだけです。
これをしても、日本の学術レベルが上がるわけでもなく、むしろ下がります。留学生がさらにバイトに取られるので。
これまでの記事で何度も触れてきましたが、日本の学術の発展は、留学生無くして成り立たないのです。
要は中国人留学生から所得税を取っても、国益に何も繋がらないのです。
(あえて言うならわずかな税収くらいでしょうか)。
なんで自分の国の首がしまることを絶賛し、絶叫し、ツイートで生き恥を晒しているのか、私にはわかりません。
でもたぶん、やはり脳みそにカビが生えているのだと思います。
「中国人の利益を少しでもけずってやったぞ!!☆彡!♡!!!!」と認識するとドーパミンを放出するカビが。
でもその時、日本の利益も削られているわけです。
お前のドーパミンは日本の損の上に立っているのか?
クソ。ああ、本当に、クソ。
3.さいごに
実は私も、「留学生30万人計画」はあまりよくない計画だったと思っています。
数値目標ばかりが先行して、莫大な量の私費留学生を生みました。受け入れるなら、もっとちゃんと奨学金を整備して、優秀な留学生が一定学業に集中できるような環境を作るべきだったと考えます。
留学生を30万人に増やせば、支援が薄い、手の届かない留学生が沢山生まれるのは予見できたはず(そして今まさにそうなっているわけで)です。
で、今回の結論ですが、
どうも「外国人留学生優遇説」が、最近国政レベルに押し上げられてきた気がします。
これまではゴミ箱の掃きだめのようなデマ話だったので、国政で語ること自体恥だったのかもですが、
自民党もさることながら、国民民主党や日本第一党、参政党、維新の会がこのデマに染まってきました。さすが。
デマヘイトに手を出してでも、ネトウヨの得票が欲しいと麻薬に手を出してきたのです。
ともかく今度参議院議員の選挙がありますが、それらのデマヘイト政党には入れないことです。
あなたの脳の中のカビを取り除くのは、あなた自身の知性と理性しかありません。
「中国人、韓国人へのデマはいくらでも広げてもいいよね☆☆☆☆」というカビ、
「中国人、韓国人の利益を少しでも損なったぞ♡」と思ったらドーパミンが出るカビ、
その結果日本の利益を損なっても構わないというカビ。
それを取り除くのは、あなた自身しかいません。
頼むから、これ以上日本の知性のレベルを引き下げるようなクソみたいなマネはやめてください。
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