久しぶりに夜のススキノへ出かけ、ご満悦で帰宅したのが午前零時ちょっと前。後は寝るだけ、明日はやぼ用で遠出、早く寝なければ、ということでトイレ行って歯を磨いて顔を洗ってシャワーは明日の朝でいいや、で、スマホ充電しましょうってんでポケットを探る…ない。
おや?じゃあカバンの中…ない。んー、部屋をぐるぐる探し回ったけれど、やっぱりない。
あちゃー、どこかに忘れてきたのだろう、たぶんあのお店だ。あそこにいる間、連絡待ちだったのでテーブルにずっと乗せたままだった。あそこに置いてきてしまったのだ。
明日は日曜日だから店に連絡は取れない、ってことは明後日までスマホがない、というかスマホの安否確認ができない。
するとやけに不安な気持ちがもくもくと湧いてきた。本当にあの店に忘れてきたのか?どこかで落っことしたのかもしれない、だとしたら誰かに拾われて悪用されるかもしれない、などという悪い想定ばかりが押し寄せてくる。
明日はスマホがない一日…ただそれだけのことが気分を重くさせる。日頃から、できるだけスマホには依存しないよう心がけてきたはずなのに…陰鬱になっている自分に愕然としてしまう、陰鬱と愕然のハーモニー。
まんじりともせず眠れないまま朝を迎えた。何かをしていないと落ち着かない気分、寝てなんかいられない。スマホがなくなっただけのことなのに、何なんだよオレ、とりあえずお茶でも入れて気を静めよう、などとグジャグジャ考えているところに妻が起きてきた。
やっと誰かに打ち明けられる喜びを感じながら「昨日、出かけたときにスマホ失くしたみたい」と、できるだけ辛そうな顔をして告白した。すると「あれ?トイレにあったよ」「え?」
昨日帰ってきてからすぐにトイレに入り、前かがみになると胸ポケットから落ちそうな気がしたので窓のところに置いたのだ、そういえばそうだった、ははは。って、なんかものすごく大きな安堵の塊がやってきて、でもすぐその後に「あの落ち込んだ時間を返してくれ、というかあそこまで落ち込むものなのか」みたいな自分に対して複雑な気分。
スマホどころか携帯電話すらない時代、約束の時間に間に合いそうもないのに連絡の取りようがなくて、でも何とかなった、というかその大半は「仕方ないね」で済んでいた。
財布が見当たらなくてさ、飼っている猫が下痢をしたものだから、出がけに大家がきてひと悶着あって、替えのパンツがなくて洗濯していたっけこんな時間に…。実際起こったちょっとしたことを膨らませたら遅刻の言い訳ができたし、遅刻しながらたどり着くまでの間にその言い訳を考えることができた。
でも、今は逃げ隠れすることができない、スマホのせいだ。
あ!いい言い訳思いついた。
「スマホ失くしたと思って探し回ってさ、でもかくかくしかじかでトイレにあってさぁ、それで遅刻したわけ、ごめんねー」って…でも、これ一回しか使えないね。
