この歳(とうに還暦過ぎ)になってから「最近ようやく気づくこと」がけっこうあります。その一つが、僕は口を大きく開けることが苦手、というもの。

 

先日、ふとしたはずみで指にご飯粒がくっ付いたので、おもむろにそれを食べようとしたら口の中ではなく唇にくっついてしまって、何でやねん⁉って思わずイラついたけど、でもそういえば同じようなこと前もあった、というか何度もあったなーって思い出したわけなのです。

 

そこで、これはどういうことなのかを考察してみました、暇なのですね。

 

たぶん、口の開き具合が頭の中で描いているよりも狭いのではなかろうか。だから脳の指令で指先を口中に収めようとするのだが、口の方が思いのほか開いていないのでつい唇に引っかかる、きっとこういうことなのでしょう。

ってことは、ひょっとして僕は口を大きく開けることができないのではないか、なんて仮説が浮かび上がってきたのです。

 

では実験ということで、鏡の前で大きく口を開けてみました。無理やりって感じで変な顔。

次に笑顔を作ってみました。そこで明らかになったのは、僕は歯がぞろりと見えるように笑うと相手に敵意に似たものを抱かせてしまうような顔になる、ということでした。

友好的なものは何ひとつ生みださない特殊な笑顔、というか、たただただ強ばって引きつった顔。

 

普段はこんな顔が疲れるような笑い方はしていないだろうからってんで、いつもの笑顔を思い出してみるのだけれども、うまく浮かんでこない。

そこでようやく「僕は笑顔が薄っぺらい人なのではないか」ということに気づいたのでありました。

 

子どものころの写真の僕は、ちゃんとにっこりと笑っています。前歯がキレイに揃って並んでいて、いかにも可笑しいって顔をして。これも歳をとったばかりに「失くしてしまった」もののひとつなのでしょうかねぇ。

 

いやいやそうではなく、最近はコロナの影響もあって人と会う機会が減ってしまった、それが原因なのだろう、と強引に結論付けてこの件については落ち着かせた次第でございます。