聞くところによると誰もがほぼ毎晩、夢ってものを見ているのだとか。ただ、僕はせっかく見ているであろう夢を、ほぼ毎回忘れているみたい。起きた瞬間はなんとなく名残りみたいのがあるけれど、すっと逃げていくような瞬く間に消えていく感じ。

しかし、年に何度も見る「定番ものの夢」ってのがふたパターンありまして、この二つは不思議なことに、目がさめても憶えているのです。

 

そのひとつが「列車に乗って、ある駅に行こうとしているのだが、乗り継ぎ方法がどうしてもわからない」というもの。この「ある駅」はいつも同じ。現存する町なのだが、現実にはそこに列車は通っていないので駅は存在しない。なのに、その町名がついた駅に行こうとしている。

きっとさんざん同じ夢を見ているからなのだろう、その場面に遭遇すると「またかよ!」って思ってしまうほどなのだ。

途中の駅で下車をして、やたらと離れたホームに行って、なぜかそこでもう一度切符を買いなおして(夢の中ではICカードは使えない)、そんな風にのたのたしているうちに乗り遅れてしまい、次は数時間後にくる、ものすごい遠回りの列車を待つしかない、って流れ。

いつもその辺りで「たぶん、今日もたどり着けないのだろう」と諦めている。その無念たるや言葉に表わせられないほどなのです。

 

もうひとつは、いわゆるトイレもの。

小便をするためにトイレを探すのだが、やっと見つけたと思ったらなぜか床の端っこに穴が空いているだけとか、ものすごく小さいな部屋いっぱいに積み上げられた枯れ枝の隙間にしなければならなかったりとか、泊った旅館でぐるぐる探し回ってやっと見つけたと思ったら見るからに汚くて近づけないとか、ヘビが点々と落ちている道を通らねばいけないとか(僕はヘビが死ぬほど嫌いなのです)。

そんなときは決まって小便の方。こんな難解厄介なところで用をたすのはいやだ、ってトイレの前で悶え苦しんでいるところで目が覚めるってのがまいどのパターン。

でも、もしも「えい、もうここでもいいや」って放尿してしまったら…この先、年老いてもそんなことがないように祈るだけです。