だれかバスの隣の席に座ってくれ。


確かにぼくは、冷房もろくに効いてない牛丼屋でカレーをたべた。汁だくじゃないが、汗だくだ。


でも運動だって毎日してるし、してない人よりはベタベタしないはずである。多分匂いもしないだろう。


夜のバスには人がぞろぞろ入ってくる。ぼくもそうだが、ここにいるのは一駅未満ぶんも歩けない怠け者たちだ。


そんなものぐさなくせに、座席取りの時だけはいとも器用に几帳面に、ぼくの座る席を避けていく。ぼくの隣は空いているのに、とうとうバスは発車する。


腹八分のぼくは乗客たちから八分にされてる。汗をかくのは代謝が良いってことなんだぞ。スポーツマンのあかしなんだ。悪いやつじゃないんだぞ。


頼む、だれかバスの隣に座ってくれ。



さかな。