シリーズ『魚図鑑』第3弾はオイカワです!





東京都足立区で捕獲した直後の個体。

和名
 オイカワ(追河)

学名
 Opsariichthys platypus

全長
 15cm

分布
 日本国内では、太平洋側では利根川水系 日本海側では信濃川水系以西の本州、四国の吉野川水系、九州。国外では中国東部、朝鮮半島、台湾。

特徴
 オスの方がメスより大きい。尻ビレは大きな三角形で非産卵期は雌雄ともに背中は灰青色、体側から腹側は銀白色で、体側に淡いピンクの横斑が数本入る。
 産卵期のオスは婚姻色出て、顔には追星が出来て、腹ビレや尻ビレは橙色が目立ち、先端はエメラルドグリーンのような色になる。体側は青緑色に橙色の横斑が入る。また、尻ビレは軟条が太く発達して更に大きくなる。

飼育難易度
 ★★☆☆☆

繁殖
 繁殖期は5月から8月で水深30cm程の平瀬で泥や藻の少ない砂質の川底に産卵する。
 飼育下では人工授精で繁殖させることも可能で、婚姻色の良く出たオスと、尻ビレを常にピンと開いた状態で尻ビレが底材にこすれるスレスレの低層を泳いでいるメス(以下産卵サインの出たメス)を使用する。

 まず水をごく浅く入れた両手をピース✌の形で入れられる大きさのプラケースなどにメスを移し、腹部を腹ビレの若干前辺りから総排泄孔にかけてやさしく圧迫して採卵する。
 そして採卵が終わったらすぐにメスをプラケースから出し、オスをプラケースに入れて採卵のときと同じように腹部を圧迫して授精させる。
 精子を出させ終わったらオスをすぐに取り出して少し水を混ぜて精子を卵全体に行き渡らさせて約1分待つ。
 約1分経過したら一度水を流して水温を合わせておいた新しい水に変え、その水ごとよく洗った砂(大磯など)をなるべく傾斜ができるように敷いて新鮮な水を張ったバケツ(出来れば10L以上)に卵が1箇所に集まらないように注意しながら入れる。
 卵を入れたらバケツを水温が25℃以上にならない屋外の日陰などに置いておく。
 卵が孵化し、仔魚が卵黄を吸収し終えて水中を泳ぐようになったら(ここまでで大体採卵から5~9日)餌やりを開始する(餌は固茹でのゆで卵の黄身を水に溶かしたもの)。水替えは3日に一度バケツ全体の半分行う。
 餌やりを開始してから2週間経ったらバケツから稚魚を水ごと掬ってスポンジフィルターなどの稚魚が吸い込まれないフィルターを取り付けて弱い水流を作った30cmほどの水槽に移す。
 水槽に移したら稚魚用の人工飼料や水に溶かした固茹でのゆで卵の黄身をなるべくこまめに与え、なるべくたくさん水を変える。ポイントは一度にたくさん変えるのではなく、少しでも良いので何回も水換えをすること。これをすることで稚魚の成長が早まる。
 その後は成長に合わせて餌を大きくしていく。我が家では2㎝を超えてからはオトヒメを細かく砕いたものやメダカの餌を与えている。
 体長が5cmを超えたら成魚と一緒に飼育して平気である。

その他
 主に河川の中流域に生息すると多くの図鑑では書かれているが、水質汚染にもそこまで弱くはないので、ある程度の水流がある田んぼの水路や、市街地の中の川、親水公園などにも生息している。また、例外的に琵琶湖や山中湖では湖の中にも生息している。食性は雑食で口に入るものならなんでもよく食べる。

 本来の分布は利根川、信濃川以西だが、琵琶湖産の鮎の放流に混じって移植されたことで現在では全国に生息している。また、関東などでは琵琶湖産のオイカワと遺伝的に異なる関東のオイカワの生息地に琵琶湖産のオイカワが入ってしまった為、遺伝子汚染が深刻になっている。



婚姻色の良く出たオス(一番最初の写真で真ん中に写っている個体と同じ個体)。
腹ビレの拡大写真。
(画像元:http://zakonomizube.web.fc2.com/fish/oikawa.html)




メスの成魚。
産卵サインの出たメス(下の個体)。
受精直後の受精卵。
生後一ヶ月の個体。




生後2ヶ月の個体。




生後3ヶ月の個体。





オイカワの生息している関東某所の水路。







自宅水槽内のスゴモロコ(上)とオイカワ(下)。








似た姿をしているカワムツ。オイカワとは体側の黒線や体がカワムツのほうが分厚く背びれの前に細長い三角形の黄土色斑があることなどで区別できる。