親愛なるマリヤへ

 

今 自宅の古ぼけたマンションの横の

敷地に一軒家の工事が始まった

そして 作業所の横の敷地にも一軒家

の工事が始まった

 

随分前の話しだが

テレビコマーシャルで

 

ああ家が建つ家が建つ

僕の家ではないけれど

 

そのフレーズが僕の心に響いた

後でこの詩が中原中也さんの作品で

あることを知りました

 

皆さんにも是非読んで貰いたいと思い

全文記述いたします

 

 

   はるかぜ

 

あゝ、家が建つ家が建つ。

僕の家ではないけれど。

   空は曇ってはなぐもり、

   風のすこしく荒い日に。

 

あゝ、家が建つ家が建つ。

僕の家ではないけれど。

   部屋にいるのは憂鬱で

   出掛けるあてもみつからぬ。

 

あゝ、家が建つ家が建つ。

僕の家ではないけれど。

   鉋の音は春風に

   散って名残はとめませぬ。

 

   風吹く今日の春の日に、

   あゝ、家が建つ家が建つ。