ドラえもんはネズミが大の苦手、というのは周知の事実である。
しかし、苦手とか怖いという範疇を超越し
ネズミに対する憎しみと殺意が爆発したエピソードが
あるのだ。
てんとうむしコミックス7巻に収録された
「ネズミとばくだん」という話がそれである。

のび太とドラえもんが部屋でゲームをしていると、
ママが顔色を変えて飛び込んできた。
二人が事情を聞くと何かが「出た」のだと言う。
「いい大人が慌てふためく様ほどみっともないもんもないよね。」
と余裕綽々で下の階の様子を見に行った二人。
その時、ドラえもんの足元にネズミが現れた。
ママはこのネズミを見て驚いたのだ。
ネズミを見た瞬間にドラえもんは少なくとも
ママの数十倍は慌てふためき、絶叫しながら
部屋に戻ってしまった。
のび太は平静を取り戻したママに
「ドラえもんに頼んで、22世紀のネズミ捕りを
 出してもらおう。」と提案する。
のび太とママが「ドラえもーん。」と
部屋のドアを開けた瞬間・・・、
(ダダダダダダダダダダダダ!!)
無数の弾丸が二人に向かって飛んできた。
ドラえもんが部屋の中から二人に向かって
機関銃をぶっ放したのである。
幸い弾は一発も当たらなかったが、
「危ないじゃないか!!」と激怒するのび太。
当然である。
その時のドラえもん曰く
「ごめん、ネズミかと思って・・・。」
もうこの時点でドラえもんは正気を失いかけて
いたのだろう。
そしてドラえもんは
「ネズミのネの字を聞いただけでゾッとする!」
と激白。
さらに「武器を持って共に戦え。」と
のび太には一撃で戦車を吹き飛ばす『ジャンボガン』を、
ママには鉄筋のビルを一瞬で消滅させる『熱線銃』を
押し付ける。
22世紀じゃこんな武器の所有を許可しているのであろうか。
しかも複数である。
そしてこのネコ型ロボットは自分が居候してる
20世紀の一般家庭の民家の中で
これらの武器を駆使してネズミを一匹退治しようと
している。
「敵はどこに潜んでるかわからない!幸運を祈る。」
と、さながらアブレラに占拠されたデカベースの中で
必死に戦うデカレンジャー並みのテンションで
一階へと降りるドラえもん。
当然のび太とママは文句タラタラである。
「なんと大げさな・・・。」
「家の中でこんな物・・・。」
のび太は何とかドラえもんに平和的解決を
してもらおうと、交渉を試みる。
「ねぇねぇ・・・、」
「そこか!!」
(ダダダダダダダダダダダダ!!)
またしても間一髪、のび太は蜂の巣にされかけたのだ。
のび太とドラえもんは大喧嘩。
「殺す気か化け猫!」
「(のび太が)ねぇねぇ、なんて言うからビックリ
 したんだろーが!!」
この場面、コミックスでは次のコマでのび太が
頭にタンコブを作っている。
アニメでは逆ギレしたドラえもんによって
「死にたくなかったら気ぃつけろ!!」と
のび太が頭を思いっきりぶん殴られるシーンが鮮明に
描かれている。
何とも恐ろしいセリフを吐くものである。
結局、ママのアドバイスにより
「気が立ってるから逆らわない方がいい。」という
結論に落ち着いた。
一方ドラえもんは天井裏など家中を探し回っても
ネズミを見つける事ができないでいた。
そのうちにネズミそのものに対する憎しみ、
そしてそれが何処に潜んでるかわからない恐怖に
ドラえもんの顔はだんだんと狂気に満ちていった。
そしてついにドラえもんは『地球破壊爆弾』なる物
を出してしまった。
見つからないなら地球ごと吹っ飛ばしてやる的な
発想である。
お前は魔人ブウかセルか。
のび太とママが慌てて止めに入るがこの時、
ドラえもんは完全に正気を失っていた。
ヨダレを垂らしながら「フヒーッ、ヒッヒッヒッヒ。」と
不気味な笑いを浮かべ、今にも地球を破壊せんとしている。
そこでのび太とママはやむを得ず、
「君の勢いに驚いてネズミは逃げた。」と嘘をつき、
ドラえもんを宥める事に成功した。
しかし、これで終わった訳ではない。
ドラえもんが安心してる間に本当に捕まえなくては。
「怖がってなんかいられないわ。」とママも奮起する。
そこにちょうどパパが会社から帰ってきた。
そしてパパは玄関でネズミを目撃。
ネズミ退治に躍起になっているのび太とママに
「ネズミが・・・」とその事を話すと
二人はネズミの事を口にしたパパに対して非難轟々。
事の経緯を知らないパパはなぜ自分が嫁と息子に
こんなにも怒られなければいけないのか、
その理由がわからずただオロオロするばかりであった。




一体、ドラえもんは
この回で登場させた武器の数々を
どんな使用目的で購入したのであろうか。
映画に出てきたどんな悪人に対しても
せいぜいショックガンか空気砲止まりであったが、
やはり、これらは全て対・ネズミ用として
揃えられたものなのだろう。
耳をかじられ失った事実はドラえもんの中に
永久に消えぬ怨念として渦巻いているのだ。
それより何より『地球破壊爆弾』などという
物騒な代物が『出張口目』や『しかえし伝票』と同様に
未来デパートに普通に売ってるとは考えにくい。
あまり考えたくない可能性だが、
もしかしたらネズミを嫌うあまり、
未来の武器商人と繋がりをもってしまったのではないか。
しかし、いくら何でも地球を破壊するための爆弾なんて
売り物にする輩がいるとも思えない。
となると自主制作・・・?
ジャンボガンや熱線銃も
出木杉の息子・ヒデヨあたりを脅して作らせたとか。
22世紀の銃刀法が気になる所である。
だが鬼岩城に攻め入った際など、皆にこれらの
武器を持たせてやればバギーという犠牲を払わなくても
もっと楽にポセイドンを倒せたのではないか。
ホル・ホースではないが「銃は剣よりも強し」。
ダブランダーぐらいなら秒殺である。
まあ何にしろ稀にこういう一面をのぞかせるから
面白いのである。
これも含めて我らが愛してやまないドラえもんなのだ。
やっぱりドラえもんは可愛いのである。
今後も子供たちのアイドルであり続けてほしいね。


最後に皆さんに質問です。
ガチャピンがたまにブログに
自分の後姿の写真を載せてますが、
ガチャピンの後姿とドラえもんの後姿。
どっちがいいですか?