カーテンのすき間から差し込む朝の光に、誰かが起こしてくれることはもうない。目覚ましが鳴らなければ、授業には遅れる。洗濯物はたまり、冷蔵庫の中は空っぽのまま。けれど、それを咎める人もいない。何も言われない生活は、思っていたより静かで、思っていたより重い。

一人暮らしを始めて数ヶ月。近所のコンビニに、夜中ふらっと出かけるのが癖になった。理由は特にない。たいていはお菓子やアイスを一つ買って、ついでに何となく雑誌の棚を眺める。あの明るすぎる蛍光灯の下にいると、誰かに見られているような気がして、少し安心する。

大学のサークルで知り合った友人たちと、誰かの部屋に集まった夜。
お酒をほんの少し飲んで、くだらない話をして、終電を気にせず時間を過ごす。

気づけば、誰も「門限」という言葉を口にしない。
高校生の頃、夜に出歩くことは“ちょっとした悪さ”だったけれど、今ではそんな感覚も薄れてきた。

帰りの電車を気にしていた頃が、ずっと昔のようだ。

サークルの飲み会も、授業の課題も、自由の中にぽつぽつと並んでいる。やらなくても誰にも怒られないけれど、やらなければ自分が困る。そういう仕組みが、いつの間にか日常になっていた。

少し悪いことをしても、誰かにバレることはない。
でも、だからといって、本当に悪いことができるわけでもない。

そういうところに、自分の中の「高校生ではない」という感覚がある。
外から決められたルールではなく、自分の中にうっすらと引かれる境界線。

それを越えるかどうかを、自分で決めるようになったこと。
それがきっと、大人になるということの、最初の一歩なんだと思う。