ドナ・タート『ゴールドフィンチ』(2016/河出書房新社)を読む。
2014年ピューリッツァー賞受賞作。(ほぼ)孤児の物語、ということでディケンズと比較されているが、なるほどと思う。しかし、19世紀の物語との違いは、主人公の少年テオが、ニューヨークの美術館テロの被害者、サバイバーだという点。
同時に母を失い、トラウマを癒すよすががファブリティウスの「ごしきひわ(ゴールドフィンチ)」という絵画になる。
何か美しいものが、死にいく人間の時間のなかで燦然と輝く癒しの対象になる。この考えはプルースト的だ。
作中では、他にドストエフスキー『白痴』への言及があり、作者の文学的教養の豊かさを証し立てていた。
どん詰まりのトラブルに巻き込まれたテオの、最後の一発逆転にはニヤリ。