DVや虐待、浮気の発覚などで離婚を決心する人はたくさんいます。
以前も話したように、相手に離婚を迫って、それに合意させることに苦労するケースもたくさんあります。

離婚に合意しても、次にはさらなる難関として「取決め」というものが待っています。
離婚するのに理由が必要、そして離婚に合意させることが必要、最後の段階では、離婚に際してのいろいろなことを取り決めることが必要と、何段階にも渡る交渉や折衝が待ち構えています。

今回は、離婚する時に必要な「取決め」についての話しです。
今後、離婚を考えている人は特に、この段階をどうやってスムーズに乗り越えるか、今の内から準備をしておいた方がいいかと思います。
特に問題行動の多い自己愛が強い夫、境界性の傾向を持つ夫を相手にする奥さんは「段取り一番」ということを心がけてください。


取決めというのは、離婚することで発生してくる問題を事前に決めておく、といったものです。

その内容には、子供の親権、子供の養育費、慰謝料の支払い、財産分与、年金分割、
子供との面接権
といったモノがあります。


相手が交渉にマトモに応じる人なら問題ありませんが、マトモではない夫も多いので夫婦二人だけでの協議離婚が難航することもよくあります。

特に自己愛が強い人が相手となると、交渉自体ができない進まない、できても慰謝料の額で揉める、支払方法で揉める、といったことがよく起きます。
また、子供の親権は、親権と養育権に別れていますが親権はこっち、養育権はあっち、等と分離しようとする動きをしてくることもあります。

2人の間で話し合いができない、難航するのであれば弁護士を入れることになります。

2人だけでの協議で、慰謝料の額は?支払い方法は?といったことをあなたは決められ、と思いますか?

子供の親権、養育権といった事もタイヘンだし、子供に会う権利を守るために、会う回数や会う日程の取り決めもタイヘンです。

さらなる難関として財産分与があります。
結婚してから手に入れたモノは夫婦共有の財産です。
預貯金、家電製品、自家用車、不動産といったものもあるでしょう。
これら財産を二人で分けることになりますが、自動車や不動産の名義はどうなっているか?によってやっかいな問題が出てきます。

車をローンで買っていることもあるでしょう、家などの不動産であれば当然ローンになるでしょう。
ローンの残債があれば、どうやって処理すればいいのか?
ローン会社は名義変更に応じてくれるのか?
といったことも考えないといけません。
不動産が共有名義になっていたり、頭金をどちらかの親が出していたり、妻が結婚前に貯めていた貯金を使っていたりと、そういうことも明らかにしていく必要も出てきます。

お互いが納得して、キレイに別れるならスムーズに事は運ぶでしょうが、多くのケースでは喧嘩別れのような形だったり、虐待から逃げるような形だったりします。
そうなると、この部分でも大いにモメて権利の言い合いになってしまいます。


また結婚後に加入した生命保険はどうなるか、さらには将来の退職金の分配についても考えないといけません。

年金分割は今や、当然の権利として手続きを進める必要もあります。
後でしようと思っていたら、夫が手続きのための書類作成を拒否してきた、ということもあるので一気に片付ける必要があります。
 
さらには、慰謝料や養育費について分割払いとなるのであれば、一部の弁護士が勧めているように「連帯保証人」を取り付けることも視野に入れないといけません。
別れた夫、支払い義務者である夫が支払いを途中で投げ出して「トンズラ」したら困るし、途中で死んでしまったらもっと大変でです。

そのために連帯保証人を確保するようですが、大抵はその親がなっています。
しかし、この連帯保証は義務ではないので、親もなりたがらないようです。
息子の不始末の責任を取る、といった考えの人は余りいないのかもしれません。

民法が改正されて、後々の不払いといったケースでは差し押さえもできるようになりましたが、それをするにも費用が掛かります。
仕事をしていない、お金が無い、となれば差し押さえも意味がありません。

となると、連帯保証人の存在が利いてきます。
安全策として相手の親を説得して保証人とすべきかと思います。

払い続ける可能性が低い、保証人が付けられない、となると「一括払い」が有効ですが、これも「どこかから借りてきてさっさと払え」等とは弁護士も裁判所も言えないので、運を天に任せるような形で書類を作っていくことになってしまいます。

そして、
ここでも自己愛が強い人は問題を起こします。
それはまず、別れていく妻が「平穏な」生活を始めることに怒りが湧いてきて、嫌がらせとして、離婚に合意しても慰謝料でわざとモメて協議を長引かせたり、不成立にさせたりすることがあります。

また、自己愛が異常なほど強い夫であれば、その親も同じような傾向にあって、保証人になることを拒否したり、そこまで求めて来る妻を非難してくるでしょう。
こうなると、自己愛夫と自己愛親、毒親という似たもの同士からの攻撃となり、ヘトヘトになってしまいます。

そこういった難関を乗り越えて、取り決めができたら、離婚協議書を「公正証書」にします。
公正証書は公証人役場で作成し、原本はそこで20年間保管されます。
原本は保管されてもコピーである謄本が渡されますから安心です。

特に差し押さえなど強制執行をする時には、この内容が重要になってきます。
お金の支払いについて取決めがある、契約しているといったことが必要です。
何も知らずに自分で作成して公正証書にするのは危険ですから、弁護士や行政書士等に依頼して作ってもらうようにしてください。

離婚に際しての相談で、不動産についての問題も多くあります。

1.自宅の名義は夫だけど頭金を出したのは妻だった。
2.この数年の間に自宅をローンで買ったが、夫婦共有の名義になっている。
3.土地は妻の両親が用意したモノ、建物は夫名義。
4.共働きでローンの支払いは夫婦共同口座から払っている。
他に、
5.妻が買った家だが、夫が居座っていて追い出しができない
と言った話しもあります。

こうなってくると、その家を今後どう処分すればいいのか、難しい問題が出てきます。
離婚を言い出すのはカンタンですが、離婚すること、離婚してからの権利調整といったことは実にタイヘンなものです。
法律の専門家を入れて詰めて、ここらへんをシッカリと固めておかないと、後になって泣きを見るのはたいていが妻の方です。

今回は「自己愛が強い人」をメインに書きましたが、境界性のボーダー傾向の人やアスペルガー傾向の人も同様に「難敵」です。

自分の権利だけを主張し、すべての責任を相手に擦り付けます。

特にボーダーの場合、離婚だけでなく、親権、財産分与、慰謝料などについて、後から別に調停や裁判を申しててくるケースもあります。

「自分の権利のためなら」いくらでもお金を使う、という人もいるので注意が必要です。