パーソナリティー障害の人には、特徴的な怒り方、キレ方があります。
自己愛性のパーソナリティー障害の傾向が強いと、DV、モラハラ、パワハラを利用して怒りを表現したり、それで相手を屈服させるような行動をします。

対して、境界性のパーソナリティー障害の傾向が強いと、感情の起伏が激しく、それに付いて来ることができない人、対応しきれない人に怒りを向けます。

怒りっぽい人と思いこんでいた、細かい人と思い込んでいたらそれどころではなかった、ということで悩んでいる人もたくさんいます。


態度が大きく、自分が一番偉いと思い込んでいて、マウントを取りたがる、自己愛性パーソナリティー障害傾向にある人には、には目立つ怒り方が5つあります。

1.すぐキレる、よくキレる
2.理由が無くてもキレる
3.相手を格下に見て怒って、笑いものにする
4.相手に自分が悪いと思わせる怒り方をする
5.拗ねる、いじける

どれも見た人、経験した人がいるはずです。


まず、
1.すぐキレる、よくキレる

これには5つのパターンあります。

1.大声で相手を怒鳴って、ビビらせる
先制パンチで相手を威嚇して自分が優位に立とうとします。
相手が怯んだら、どんどん攻めていきます。

2.バカ、クズ、能無し、といった言葉で相手の人格を否定する
怒るための理由が無い時、理由が見つからない時、怒る理由を説明できない時に使います。

3.相手に喋る隙を与えないように間髪をいれず怒る
自分に自信を持てないことが多いので、相手の反論や攻撃を封じ込めようとします。

4.過去の出来事を掘り起こして怒る。
怒っている間に、過去にあった自分にとって嫌な思いが蘇ってきたり、怒っている相手の過去の失敗や反抗してきたことが浮かんできて、それが怒りに油を注ぐ効果を果たしていきます。

5.質問攻め
例えばこんな言い方になります。
何でだよ、どうなってんだ、判ってんのか、早く言え、遅いんだよ、バカヤローふざけんな、見て判らないのか、聞こえてんのか、何か言ってみろよ、言えないのか、自分が悪いのが判ってるから言えないんだろ。

これも相手の逆襲を封じ込める戦法と言えます。

質問攻めされると大抵の人は答えを考えよう、見つけようとするため、言葉が出ないので反論できません。
反論する材料が無いのではなく、反論するために考えているから口が動かないのです。

これを周囲の人が見たら、怒られてしょげかえている、反論できないことをやってしまった、と思ってしまいます。

このパターンでキレると、どんどん怒りが増して暴走し、そのうち、物を投げる、壊す暴力を振るう、といった、激しい怒り方をします。

感情がコントロール不能になって、怒りの行動もコントロール不能になっていきます。

殺人事件のニュースでよく出てくる言葉、「カッなって、つい」という状態です。

こんな怒りがしょちゅう出てくるようになると、周囲の人からは、アブない人、すぐキレて何をするか判らない人、近寄らない方が安全、となって行き、近くにいる人はいつもビクビクするようになります。
これは、怒りで周囲を支配している状況です。


2.理由が無くてもキレる

自分が注意されたり、問題を指摘されたり、反論されたりした時、「なんで自分がそんなこと言われるんだ」と、逆ギレします。

相手の怒りや攻撃に対して、それ以上のパワーで反撃します。

彼等に反省や改善といった考えはなく、自分に対しての指摘、注意、反論、叱責といったものすべてを攻撃と受け止め、激しく反撃します。
こういった形で反撃してくるので、マトモな話しができなかったり、周囲の人が関りを持とうとはしなくなります。

関われば、ストレスを受けるのが目に見えていますから、面倒クサイ人を避けるようになります。


3.相手を格下に見て怒って、笑いものにする

相手の自尊心を傷つけようとします。
次の3つのパターンがよくあります。

1.頭が悪い、使えない、無能だ、といった言葉を繰り返し使って、周囲の人に「そうかもしれない」と思わせる。

2.怒る相手に、オレに嫉妬している、田舎者だ、こんなことも知らない、と言いながら、哀れだね、等と言って、恥をかかせるように仕向ける。

3.相手をバカにした挑発的な態度で煽って、キレて手を出してきたり、ストレスからウツになって自滅するのを狙っている。

このように、暴言、暴力とは違う方法を使って、相手の自尊心を傷つける失礼な行動で怒りを表すことがあります。

バカにした態度を取るのは、相手をおとしめることで、自分の方が立場が上であると、自然にアピールできるからです。
これは、彼等のとって、とても効率的な怒り方と言えます。

ネチネチとしつこい怒り方や注意の仕方、冷たい表情、無視する、といったことが特徴的です。


4.相手に自分が悪いと思わせる怒り方をする

激しく怒っている時に出る言葉で、

●「オレを怒らせるな」
●「怒りたくて怒っているのではない」
●「オマエのためを思ってあえて厳しくしている」
●「オマエのせいでみんなが迷惑している」

といった、怒られている相手の情に訴えかけるように怒って、「怒られている自分自身に落ち度がある」と思う方向へもっていきます。

そうやって罪悪感を持たせることに成功すれば、それにつけ込んで、自分が容赦ない怒りをぶつけることが正当化できます。
だから彼等は、罪悪感を抱かせる言葉を駆使します。


また彼等がこういった怒り方をする時、みんなが、会社が、お客さんが、といった漠然とした、抽象的な言い方をします。
みんなとは、誰だ、
会社とはどこの部署の誰だ、
お客さんとは、どこの誰だ、といった特定できる言い方をしません。

彼等が使う、みんな、には特に注意が必要です。
この言葉を真に受けて、罪悪感を持ってしまっては連中の思う壺です。


5.拗ねる、いじける

拗ねたり、いじけて、話し合いを拒む、無視をする、といったものがあります。
これは相手の方が上手で、やり込められたり、自分の知識が追い付かない時によく使います。
特に、議論の場であれば、
「オマエのようなバカと話すのはムダだ」
「そんなことも知らないオマエとは話しもしたくない」
「もう一度、勉強し直してこい」
等と言って、席を蹴って出て行きます。
議論の強制終了です。


さて、こんなトンデモナイ怒り方、キレ方をする自己愛性パーソナリティ障害ですが、彼等はなんでこうなってしまったのでしょうか?
その原因は、生まれつきといったものもありますが、環境要因、特に親や周囲の大人との関係に問題があるといわれています。
それは次のようになります。

1.生まれつき非常に敏感な気質
2.現実的ではない、誉め方をされてきた
3.親の誉め過ぎ、怒り過ぎが子供の頃からある
4.親、家族、仲間が甘やかし過ぎた
5.周囲の大人から、美人だ、イケメンだ、といった誉め言葉ばかりを受けてきた
6.子供の時期の激しい心理的虐待
7.親がいい加減で適当な育て方をしてきた
8.親の満足のための手段、道具として評価されてきた
9.子供の承認欲求に対して、親が共感してこなかった

このように、本人というよりも、周囲の人や親の問題が大きくあるようで、子供の承認欲求の満たし方を失敗したことが問題だったと思えます。
やはり、親の問題、育て方の問題が大きく関わっているのは確実といえます。

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