夫から暴力を受けた、モノを投げつけられたといった経験をした人、今現在、実際にそんな日を過ごしている人と言うのがいます。
前にも話しましたが、それをDV、暴力と思っていない人もたくさんいます。

それを放っておけばいつかは大きな事件になったり、いつかは大きな被害を受けたりと危険なことこの上ありません。
そんな時は躊躇せず110番、と警察でも言っていますが、まだまだ浸透していないようです。

今回は、こういったDV被害での通報について話します。
DVというものを理解していない女性、DVが犯罪だということを理解していない人が多いのでよく聞いてください。


DVについてよく分かっていない人もいれば、DV防止法という法律が20年余り昔に作られているといったことさえ知らない人もいます。

DVは身体的暴力、経済的暴力、精神的虐待、経済的虐待、性的虐待といった5つ分類があります。
ここではDVの中の身体的暴力について話しを進めていきます。


よくDVで110番したら夫婦喧嘩と言われた、という人がいますが、これもDVと夫婦喧嘩の大きな違いを知らないがための結果といえます。

その違いですが、喧嘩はお互いが対等な関係なので殴り合いなどが起きます。
これに対してDVは力の差が決定的に違う、その仕返しが怖い、支配関係ができているので手出しできない、といった状態、つまり、こちらからは何もできない状態というのが必要です。

ですから仮に暴力を振るわれたら、反撃などせずに110番する。
外に逃げて誰かに助けを求める、110番しながら逃げること。
手出しすることで反撃できる関係、対等な関係ということでDVではなく単なる夫婦喧嘩になってしまいます。

殴る蹴るの他には、突き飛ばしてケガをさせる、髪の毛を掴んで引き倒す、物を投げつける、といったものがありますが、直接的でなくても暴力になります。
モノを投げて壊す、壁を蹴とばして穴を開ける、食事のテーブルをひっくり返すといった暴力的な行動も含まれてきます。

DVでの通報では、被害があったスグに通報というのが鉄則ですが、被害に有ってからでは遅いし、危険なので暴れ出したらスグ通報、危ないと思ったらスグ通報、と警察でも注意喚起しています。

今暴れている、という切迫した状況でしょうが、110番することを躊躇ってはいけません。
たとえ、それが毎日のように続いても通報するのを止めるというのは危険です。
ちゃんと税金を払って、安全確保を行政に委ねているのですから躊躇う必要はまったくありません。
警察側がそんなことは面倒くさい、というのであれば、こっちが自分で退治していいのか、となってしまいます。

ここで問題になるのが、警察の対応です。
本当にメンドくさいといった対応をする警察署というのがあって困りものです。
また110番しても、「他で忙しいから」といって断られた人もいるようです。

こうならないために事前に警察へ行って相談し、DV通報が有った際に現場へ急行する警官に情報が共有されるようにシステム登録しておいてもらうことも必要です。
担当部署は警察署の生活安全課にあります。


暴力はないけど陰湿な攻撃を受けているのであれば、#9110というのがあります。
警察相談電話と言われ警察署ではなく、その都道府県の警察本部の相談窓口に繋がって、いろいろ相談できるものです。
こういった相談窓口を使うことで、これからの対策や対応を一緒に考えてもらったり、専門の人に相談するきっかけができます。

市役所などの行政機関にも相談窓口があるので、そういった所を利用するのもお勧めです。
中には、市役所の相談窓口と地元の警察署の担当部署がうまく連携していて、情報共有ができている地域もあります。

こういう所では、警察へ行こうが、市役所へ行こうが、話した内容は双方の担当者が情報として共有できているので、その後の相談でどちらかに出向いてもすぐに判ってもらえる、という点が優れています。

市役所でも警察でも名称はだいたいが、「女性相談」と「DV相談」となっているので分かりやすいでしょう
東京だと、東京都女性相談センター 、東京ウィメンズプラザ というのがあります。

警察だとどうしても身体的、物理的暴力が中心になってしまいますから、精神的虐待、言葉による虐待といったものであれば市区町村の相談窓口の方がいいでしょう。

DVでの暴力で問題を起こす夫について、警察を呼んで対応してもらった依頼人というのはたくさんいます。
暴れた夫をなだめてもらっている間に、事情を聴いていたお巡りさんに、「オタクのダンナ、イカレてるから別れた方が安全だよ」と言われた人もいるし、「これ傷害で訴えた方がいいよ」と言われた人、さらには「ダンナを一晩泊まらせようか?」と聞かれた人もいます。

またDV事案として周知されていたケースでは、110番したらパトカーが2~3台来た人や、パトカーを先頭に警察署のマイクロバスで制服私服合わせて8人くらいの警官が来た人もいます。
こうなるとちょっとした事件です。


DV被害には当然時効というものがあります。
刑事として民事としての時効がそれぞれあります。

まず刑事事件なら、
DV、暴行罪であれば3年、傷害罪であれば10年で時効となります。
民事であれば、3年となっています。

刑事事件であれば、時効によって裁判に訴えることができなくなります。
民事であれば、慰謝料などの損害賠償請求をする権利が無くなります。
この点はよく覚えておいてください。

刑事事件でのDVは3年または10年ですので、過去の被害を警察に訴えることも可能です。ケガをしているのなら医者の診断書、そこに夫の暴力行為による、といった原因を書いて、それを持って警察に行くことで被害申告が可能です。

後になってワザワザそんなことを言うのは面倒クサイ、という人もいるでしょう。
しかし、これが離婚調停や裁判での証拠となる訳です。
DVによる被害をいくら言葉で言っても、診断書や警察の被害受付といった公的なモノの方が重みがあります。

さっきも言ったように、Dv被害で110番して来てくれたお巡りさんも、「訴えますか」とか「訴えた方がいいよ」等と進めてくれることがあります。
しかし、多くの場合、それを躊躇して訴えない奥さんもたくさんいます、たくさん、というよりもほとんど100%に近い人が訴えません。
そんな時に、お巡りさんは「後からでも大丈夫だから」と言ってくれることがあります。
後になって冷静に考えてみて、やっぱりそうしよう、と思ったら行けばいいだけです。
しかし、やっぱり一番は、現場で現行犯で送る方が一番効果的です。


暴力でケガをする人もたくさんいます。
大けがをしてしまってからでは手遅れです。
危ないと思ったら通報することです。
実際問題、過去にも紹介しましたが大ケガをした奥さんはたくさんいます。半身不随になった人、そこまでいかなくても後遺障害が残った人というのがいます。

事件として訴えない人が多いと話しましたが、多くの場合「今度やられたら告訴する」「しばらく様子を見る」ということで今回は告訴しない、と考えているようですが次の暴力で人生が終わるかもしれません。

 

DVモラハラ相談についてはオリザリサーチのHPから