脳のしくみその2 脳は見たいものだけを見る
「美咲、あなたはまるで悪いところ探しゲームをやっているようなものだ。人間たちは、悪いところ探しが得意なんだよなあ。困ったなあ。」フランチェスコは、大げさに手を広げて言った。
「もうひとつ、『あなたが現実を変えられる』ということを分かってもらうために、実験をしよう。今から10秒間、できるだけ多くの赤い物を見つけて。ヨーイ、スタート。」
(赤、赤、赤、車の赤、橋の赤、スーパーの看板の赤いマーク、それから、チョコの首輪の赤…)
「はい、10秒。美咲、青い物はいくつあった?」
「えっ?赤じゃないの?フランチェスコ、さっき赤って。」
「そうだ、さっきは赤って言ったけど、今は青い物を聞いているんだよ。」
フランチェスコは、クックックッと笑いを堪えながら言った。
「青は、見ていなかったわ。」
美咲は怒って言った。
「じゃあ、今から10秒で青い物を探して。」
美咲は顔を上げると、たくさんの青に囲まれていたことに気付いた。
(空の青、川の青、電車の青、私のはいているジーンズの青、それに、さっき見たスーパーの看板の文字は青だった!)
「どう、青い物は見つかった?」
「いっぱいあったわ。」
「そうだろうね。さっき、あなたは『赤を探すこと』という指令を脳に与えた。そうすると、脳は必死になって赤を探し出す。するとどうだろう、同時に見えていたはずの青を見落としてしまうんだ。これと同じことが実際に起こっているんだよ。『目に見えているもの=現実』ではない。『頭の中にあるもの=現実』になるんだ。つまり、あなたの頭の中は、現実を作り出す力があるということなんだよ。」
つづく
