練習を制約操作していく | 井上正幸のブログ

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二つ目は同じ数的優位の6v4練習でも「3v2」に特化したポジショニングの練習で最初の練習よりも制約(タスク)が増える。

BDの制約として、タッチされたATの選手はダウン、ATの1人はダウンした選手をブリッジしてBDを形成。
さらにAT側にはBDが生まれる前にはハーフからのパスを合わせて必ず「2パス」という制約をつけた。
もし、トライまでいけるのであれば2パスの必要はないが、2パス以内にタッチされるとATは終了。

6人のATでBDに2人とハーフ1人だとすると、残りの3人でATラインを作ることになり、「2パス」の制約があることで、決定的な状況でない限り、ボールは2人目か3人目でBDができることになる。
必然的にライン攻撃した3人がBDに寄っていくことができる制約設定にはなっている。

これにより、ATは片側に3人のライン、DFはハーフが持ち出してくる可能性があるのでBDの両側に1人ずつ立ち、DFラインには2人のピラーがいる状態の「3v2」が毎回生み出すことができる。

同じ「3v2」でもスタティックな状態での「3v2」とは違って、ATもDFも実際にボールが動いている状態でのポジショニングすることになるし、ゲームと同じで一つ前の状況が次の状況に影響を与えることができる。

つまり、前の状況でゲインすれば、ATは前に出ながらの「3v2」になるし、DFがBDに寄っていればスペースが外側にある「3v2」になる。
また、ミスをしてATが下がれば、DFのプレッシャーを受ける「3v2」になる。


「ルール設計上、ATラインを作った3人がBDに寄る」と書いたが、BDに参加する判断に慣れていないBKの選手はボールウオッチしてBDへの参加が遅れて、、DFがセットされた状態になることが少なからずある。
また、ラインを作ることに慣れていないFWの選手は、ボールウオッチしてラインをが浅くなりボールをうまく回せないことが起こる。ここでも「2パス」の制約は効いていて、2パスの制約があることで、「ラインができていないからパスせずに突っ込む」といったことができず、ポジショニングと状況判断を求めることができる。

これは、DFにも同じことが言え、無駄に「ラックチェイス」しないように声をかけたり、オープン側にDFをフォールディングさせたりとAT、DF双方に「ボールウオッチせずに次何をすべきか」といったコミュニケーションを練習が選手にまとめることになる。


この2つのポッドを使った練習で、さらに「8対5」にして、今度は制約をBDは「1キャリー2オーバー」にするのと、「2パス」に加えて、毎回「ダブルライン」を作ることにして行う。

先程の「6対4」よりも「ダブルライン」という制約が増えたことで、より状況判断とコミュニケーションが求められ、カオスな環境を生み出すことかできる。


こうして制約操作によって、常に選手に考えさせ、戦術的なポジショニングと状況判断ができる選手を育てていく。