構造主義に基づいた「2対1」の練習方法 | 井上正幸のブログ

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前回(https://ameblo.jp/orthoinoue/entry-12627231951.htm)l の続きです。


「2対1」の構造主義に基づいたゲーム形式の練習を紹介します。


ここでは、コートを二つに区切って一方のコートでアタック2人にディフェンス1人、もう片方のコートでもアタック2人にディフェンス1人でお互いコートから出れないようにして、お互い連動させるようにする。

一方で2対1を行い、ディフェンスにタッチされたらタッチされた選手は股下からボールを出す、もう1人はもう一方にいるアタックにパスし、そこでも2対1を行う。

もし、タッチされずにトライまで行くことも考慮して、トライラインを2つ前後に作り、トライできたらトライした地点で股下からボールを出し、もう一方にパスして2対1を行うようにする。

つまり、アタックは2トライしなければならず、この練習では、どのようにして「2対1」が生まれるのかを理解することができ、ドリルのように断続的なものではなく、ディフェンスに捕まっても「攻撃の失敗」ではなく、攻撃は積み重なるものであり、前の局面が次の局面に影響を与えるラグビーの構造を理解することができる。


ラグビーの構造の理解度をさらに上げるための練習としては、アタックは同じように移動なしで、ディフェンスは移動ありにすれば、ディフェンスは左右に大きく移動するので、アタックはポジショニングの重要性を理解することができる。


こうした練習をする際に、単純な「2対1」といったスキル練習して、できるようになってからゲーム形式の「2対1」をした方が良いのかと聞かれるが、先ずゲーム形式の「2対1」を行い、ゲーム構造を把握した上で、上手くいかなかった時に単純な「2対1」をする方が、選手も何のためにこの練習に取り組むべきかといった課題が明確になる。


指導者はどうしてもわかりやすい「成果」を求めるために、簡単な動作や判断を切り取った練習を求める。

しかし、そこにはゲームの構造を意識した練習はなく、局面的な練習を重ねれば全体に繋がると考えがちである。


構造的な練習を体系化しておくことで、選手に段階的に落とし込むことができる。