井上正幸のブログ

井上正幸のブログ

8/7に著書3作目となる「ラグ戦入門編」が発売となりました。 「戦術初心者にでもわかりやすく」という今までにない難問を突きつけられ、何度も突き返されて生まれた書籍です。1人でも多くの皆様の手にとっていただけますと幸いです。 https://www.amazon.co.jp/dp/4862556930/

キャリアを絶対の根拠とするのではなく、「批判的思考」を持ち、具体的な結果ではなく、「抽象的な概念」を抜き出し、「なぜそうなのか?」と思考を巡らせることが必要である。


「批判的思考」とは、物事を否定するのではなく前提を疑い思考する方法ではあるが、そうではなく、発信する人のキャリアを根拠として、前提を絶対視する人が一定数いるのではないだろうか。


僕は幸運にも、国内でシェイプやポッドが一般化する以前の2008年に師匠である谷田さんからポッドの構造や理論を教わったおかげで、エディーが2010年にシェイプを国内で広めた時も、彼の理論をそのまま受けとるのではなく、批判的思考を用いれるようになったと思っている。


例えば、「シェイプはフラットに走り込んでゲインラインを越える」という戦術コンセプトや「シェイプは一人一人の間隔を広くして1対1を作る」という原則も「DFが前に出てこない」前提のものであり、前に出るDFに対してはリスクとなってしまう。

また「ポッド内は狭くしてBDリサイクルを速くし、ポッド間は広くし、空いてるスペースにボールを運ぶ」というポッドの戦術コンセプトも、BDに寄らずに広いポッド間にプレッシャーをかければ、広いポッド間もリスクとなる。


こうした事実は、「BDを速くリサイクルしてDFのポジショニングを遅らせてDFが前に出れないようにしてからゲインラインをどのように破っていくのか」と抽象的な概念を導き出し、新たな戦術の創造となる。


批判的、抽象的思考がなければ現象的にしか物事を捉えることができない。

どのような考えに基づいて何が行われているのかがわからないので、次にどうすれば良いのか、何が起こるのかがわからない。


エディー・ジョーンズ、グレアム・ヘンリー、ベン・ヘリングス、ウエイン・スミス等、色々なコーチの動画を見るが、動画によっては今の戦術にはマッチしないこともあるが、僕は具体的なアイデアだけを知りたいわけではない。

そのアイデアに至った根拠やどういった思考で何を解決しようとしているのかを知りたいと思っていて、そうした抽象的な思考は改めて物事を深く理解できたり、新たなアイデアを与えてくれる。