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井上正幸のブログ

8/7に著書3作目となる「ラグ戦入門編」が発売となりました。 「戦術初心者にでもわかりやすく」という今までにない難問を突きつけられ、何度も突き返されて生まれた書籍です。1人でも多くの皆様の手にとっていただけますと幸いです。 https://www.amazon.co.jp/dp/4862556930/

「テンポが速すぎてミスが起こる」ということについて、テンポは速ければ速いほどよく、あえて遅くした方が良いなんてことはない。
正しくは、「ポジショニングができていないのに速くATするとミスが起こる」や「テンポを速くすると適切な意思決定ができない」であり、問題は「ポジショニングや意思決定の遅さ」にある。


例えば、ボールを速く左右に大きく動かすだけでは崩れないことがあり、テンポを遅らせると突破できることはある。
それは、DFのポジショニングがボールの動きに間に合っていないからであり、テンポを落とした方が良いのではなく、ボールの動かし方の問題と言える。

つまり、ボールを左側に大きく動かした時に空いているのは右側の外ではなく、ボールの動きについてこれていない「BD周囲」であり、すべきプレイはBDから近場を攻撃することである。

そうした近場を攻撃するとDFは集まってくるので、さらに外側のスペースを作ることができる。

「意思決定が遅い」のは、様々な情報のノイズから適切なシグナルを見つけられないからであり、シグナルの見つけ方を伝え、適切な練習をすることで改善される。


では、「なぜポジショニングが遅れるのか」について、戦術の理解が低く自分がどこにポジショニングするかがわかっていないケースもあるが、多くはボールを目で追いかける「ボールウオッチ」をしてしまい、足が止まり次のことが考えられていないからだ。

アイルランドはアンストラクチャーからでも、その場の判断とコミュニケーションで即興で階層的なポッドを作ることができる。
スタントやフルバックといった意思決定者だけでなく、すべての選手がポッドを抽象度高く理解しているため、こうしたことが可能となる。

また、ポジショニングを着くのを待つためにテンポを遅らせることがあるが、攻撃側は味方がポジショニングするのを待っていては、同じようにDFがポジショニングするのを待つことになる。
特にバックドアへの移動に関しては、ボールが動いてる間に移動して走り込めるのが、相手にノミネートされづらく、理想的である。

エディーさんが目指してる「超速ラグビー」は、こうしたことが具現化できるチームだと思う。