- 善悪の彼岸 (岩波文庫)/ニーチェ
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ニーチェは『善悪の彼岸』で、さまざまな先人の言葉に疑問を投げかけている。その内容は日本語訳すると高尚に見えるが、よくよく考えると難癖に近いんじゃと感じるものも…あるかな。
なにしろ、ニーチェの攻撃の対象は、“イギリス人”“学者”“女”などなど。とにかく、無尽蔵にわき上がる怒りにまかせて、対象を痛罵し続けている。
そんなニーチェの難癖を読んで、多くの人が「高慢だ」「強者の理論だ」「差別的だ」って言うんだと思う。たしかに、イラッとくる内容も少なくなかったっす。
でも、それって現代教育を受けてるからじゃない? って気もするんだよね。
ほら、今の世の中、女子供や年寄りをいたわって、みんな仲良く暮らすのが幸せなんですよって考えが「常識」でしょ。だから、ニーチェの言うことに反発する気持ちが出てくるんだよな。
でも、読んでみて感じたんだけど、なんとなくニーチェっていい人のような気がする。
ほら、よく頭のいい人で、いつも天の邪鬼な文句を言う人っているでしょう? 心底嫌いで、その人や環境、会社や学校のことを批判しているんじゃなくて、もっとよくなってくれたらいいのにって希望を込めてブツブツ言うことが止められないタイプ。
でも、それって文句言ってる本人が、世の中に甘えているってことでもあるんだよな。「僕はこんなに考えてるんだ。みんな分かってよ」みたいな…。
ところで本書の内容だが、各章の意味を理解するのは、私のような哲学ド素人には難解だった。だぶん、翻訳の仕方にもあるんだろうが、読み終わった今の段階でも、ニーチェの言いたかったことを正しく理解したという自信がない。まったくない。
それでも、私なりに解釈してみた。
この本のなかでの主な主張は、「この世の中が、欺瞞に満ちているんだ!」ということ。そして、「道徳」を廃して物事を考えれば、安全確実なんてものを信じるのは馬鹿らしくなるでしょ? ってこと。
つまり、「真理」ってなによってことですよね。
たとえば、人を殺すことは悪いことですと多くの人は言う。でも、なぜ悪いことなのか、その明確な答えを提示できる人はいない。なぜなら、殺人をタブー視するのは一般論だから。みんな、世間一般で言われていることを、ただ鵜呑みにして、まるで自分の言葉のような顔をして話しているから。
つまり、「殺人は悪だ」と言った人の本音は「だって、みなが人を殺しちゃいけないって言っているからダメなことなんだ」ということなんだよね。
その人の意見を言う前に、世間に流通している意識が、先入観となってその人の意見に影響を与えちゃう。それって、何かおかしくないか? ってニーチェは主張してるんだろうな。
だから、ニーチェが人間に対して絶望しているのではなく、愛があるということは、なんとなく感じました。
だって、「神は死んだ」って、この世には、いろんなものがあるでしょ。神以外のすべてのものは、この世にある。善の彼岸、悪の彼岸と両極端なところから世の中を見ても、そのことは変わらない。
ニーチェは、彼岸からまた俗世に帰ってきたのは、それが分かっていたから…なか?
きっと、「ルサンチマンの哲学」の「ルサンチマン」は憎悪と訳すのではなく、傷つきやすいと訳すんだろうなとも。
うん、なかなか面白い1冊だった!
次は『道徳の系譜』を読んでみよ~っと!

のコミック『聖☆おにいさん』の第一巻。
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