譜面を景色や模様のように捉える。
それを眺め、美しいと感じられるものは
おおよそ音楽としても美しい…
とりたてて珍しい考え方でもないけれど、
いや、むしろ不文律と言っても良いくらいなのだろうけど、
作曲を理論から学び始め、歳月も浅いころ、
それを先生から教えていただいたときには
至極真っ当でありながら、
直感的な匂いのするその論理に
却って驚きを感じたものです。
それから十余年が経ち、先日。
その先生のもと、限られた時間内で
答案を見立てる機会がありました。
大体行き先が解っていそうなもの、
ためらいがちなもの、全く奔放なもの、
様々なおたまじゃくしを辿っている中で、先生の声が。
「これなんかどうかなあ?景色は良さそうにみえるんだけど?」
あの教えを受けて以来、楽譜に触れる折には
自然と心に留めるようになっていたのですが、
習慣であるにも係わらず、言葉として耳に入ると
年月を経て懐かしく、そして不思議と新鮮でした。