明後日4月18日は、詩人大手拓次(1887-1934年)の薔薇忌。
多病のなか、1サラリーマンとして日々を送り、詩壇との直接的な交流を殆ど持たず、生前には一冊の詩集も出版せず、妻帯もせず、46年の
生涯を孤独のなかで過ごし、2400にのぼる詩を残した大手拓次。
もとよりその幻想的な美しさを湛えた作風は好きでしたが、この春、詩集や生涯に関する記述など読んだりと、拓次に触れる機会を再び持ち、
そのなかで新たな思惟も芽生えることとなりました。
けれどもこのような日を前に、ほんの一篇の作品を、
ただただ味わうべく記したいと思います。
明日を待つ薔薇
大手 拓次
しろけれど こころをこめて色にぬれ、
ひかりをつつみ、
ひびきはむらむらとまようて
たのしいときめきの瞼をひたす。
ゆれるやうにひらくばらのはづかしさよ、
明日の日に おまへはゆれるよ、
おまへは ほのぼのとあかくなるよ、
ふかいにほひに おまへははてしなくながれてゆくよ。
あすの日に鳥のはおとのやうにひらくばらのゆめ。