シャント閉塞のこと 1 | orizarot

シャント閉塞のこと 1

前述したように、今週水曜の夜に
シャントが閉塞した。
少し痛みがあったので、でもまあ、
透析日だったので穿刺部分が痛いのだろうと思いつつ
発熱していないかを確かめるために
腕に触れた。

そしたら、止まっていた。

血流に触れない。
「二度見」ならぬ「二度触れ」をした。
その時すでに時間は夜の23時だったが、
以前もらっていた夜間緊急用の連絡手順に従って
電話をかけた。

とりあえずこの時間では診察はできないので
明日、クリニックの方から連絡させるとのこと。
なんかシャントの手術をしたあたりが膨らんできたが
破裂することはないと言われた。

かつて、シャントを作ったばかりの時、
オレはシャントが怖かった。
腕の皮一枚向こうに動脈が動いている。
心臓の鼓動に合わせて脈打つ腕を見て、
これが破れたら死ぬ。。。とか思ってしまい
見るのもイヤだったものだ。

でも今、シャントの鼓動が無くなった腕は
なんとも言えず頼りない。
まるで腕をごっそりと抜き取られてしまったような喪失感。
この2年でオレはすっかり透析者になっていたようだ。

それにしても、シャントが閉塞するようなことは
一切思い付かない。
突然今日になって痛みを感じて、
そしたらもう閉塞していた。
どういうことなのか。

今夜できることは無いので
大人しく寝る。
寝られないんじゃないかと思っていたが
意外とすぐ寝付いた。
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翌日、クリニックから連絡。
診察は午後3時からということになった。
総合病院まで行かないといけない。

「シャントは閉塞しやすいんですよー」と
大きな事実をさらっと告げられた。
ちゃんとケアをしていても、
それでも閉塞は避けられないらしい。
糖尿を患っていたりすれば、月イチぐらいの頻度で
閉塞するらしいし。
なんというか、そのたびにこんな事になるのか。
自分は身障者であり、
そして腎不全が第一級身障者であるということを
ここに来て思い知った。

この2年で、透析ともうまく付き合えるようになったと思っていた。
穿刺痛くなくなってきたし
週2から週3にはなったが、仕事も両立できている。
シャントもビンビン動いているし
水引の量が多くても、疲れがたまることも無い。
「腎不全ってこんな感じで大丈夫なんだな」と
正直そう『安心』した気になっていた。
でも、今までそう思い込んでいた、意外と平坦な道は
実は綱渡りだったと分かってしまった。
正直、閉塞を手術すること自体は構わない。
ただ、ちゃんとしていてもシャントはいつ閉塞するか分からないという
その事実は、知らない方がよかった。

止まったシャントを何度も触った。

再生するにはどういう方法があるのか。
なんとなく、分かってはいる。
血栓を取り除くか、あとはPTAといって
血管内にカテーテルでバルーンを挿入し
膨らませて血管を広げるというヤツ。
どっちにしてもイヤなんだが、
特にPTAに関しては
「アホのように痛い」
ということを前々から聞いていた。

PTAだけはヤダなー。
と思っていた。

午後3時まで時間があるので
仕方なくオトメの原稿を描く。
今日閉塞を治して、明日には通常通り透析ができるとのことなので
仕事に影響は無いだろう。
それは助かった。

どういう治療をされるのか。
どういう痛みに耐えなくてはならないのか。
そればかりが気になって、仕事なんて身が入らなかった。
外は土砂降りだし。
この中を出かけていかなくてはならない。


2へ続く