「お前は会社を食い物にしている
給料泥棒」
「お前が仕事をしない人間だと
言いふらす」
製薬会社に勤める男性社員は
上司から事あるごとに暴言を受け続けて
2003年に上司からの暴言を遺書に記し
自殺をしてしまいました。
これに対して東京地裁は2007年10月に
これを「労働災害(労災)」
と認める判決を下しました。
パワハラが自殺の直接の原因と認め
労災を認定した司法判断は
これが初のケースでした。
それ以降職場のいじめや嫌がらせと
言ったトラブルに
関する相談は年々増加傾向にあり
パワハラを原因とする判例は
出されています。
これまでパワハラには明確な
防止措置が無く
各企業の自主的な対応に任せてきた
結果です。
ここでの問題点は
パワハラとそうでない行為の境界線が
曖昧となり
上記のような自殺に追い込まれてしまう人が後を絶たなかったのです。
パワハラを防止することは社会的にも
喫緊の課題であり対策の抜本的強化が
必要と言うことで
厚生労働省が2018年に労働政策審議会で
職場のパワハラ対策に向けた
報告書を示しました。
それによって2019年3月に閣議決定した後
国会に法案を提出しました。
同年5月にようやく
「改正労働施策総合推進法
(パワハラ防止法)」
が成立しました。
この法律は企業に対して職場での
パワハラを防ぐために
相談体制の整備を義務付けるものでした。
大企業2020年6月から
中小企業は2022年4月
から義務付けられました。
パワハラ防止法のポイント
事業主へのパワハラ防止のための
雇用管理上の措置義務(相談体制の整備等)
が新設されました。
パワハラに関する紛装調整委員会
による調停(ADR)の対象となり措置義務などについての
履行確保のための規定を整備する
パワハラ以外のハラスメントに起因する
問題に関して
国や事業主そして労働者の責務の明確化も明記されました
まさにパワハラは事業主だけではなく
そこで働く一人一人が気を付けるべき
内容です。
他に各ハラスメントについて
労働者が事業主に相談したことを
理由とした
事業主による不利益な取り扱いの禁止も
盛り込まれています。
パワハラ法制化のポイント
1️⃣パワハラ防止措置を
企業に義務づけ
相談窓口の設置
社内研修調査体制の整備
プライバシーの保護
2️⃣悪質な企業は企業名を
公表する
3️⃣指針で「業務上の指導」の 線引きをする。
4️⃣対応型難しい中小企業への支援を行う。
5️⃣紛争が起きた場合は
ADR(裁判外紛争解決手続き)
を活用する
実際現段階ではパワハラに違反した場合の法的な措置は
設けられておりません。
厚生労働大臣から事業主に対しての
助言や指導が勧告される可能性は大いに有ります。
勧告を受けても従わなかった場合は
その旨を公表出来るといったことが
法で定められています。
それが実行されたら
企業が受けるダメージは
大きいでしょう。
罰則が無いからと言っても個々が
注意義務を怠らないことが
必要不可欠と言えますね。
次回はパワハラ判断基準について
学びながら書いて行きます。
如何でしたでしょうか?
アピタ刈谷店2階
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