農業で日本を改革を実践 -2ページ目

貿易の偏り

~見返りとして求められる農産物の輸入~

 日本は食料輸入大国である。


2002年の食料輸入量は240億USドル(約2.6兆円)、世界の食料輸入量の7.5%に達している。


食料輸入大国になった理由として、農地の不足や高い生産コストといった農業サイドの事情がある。しかし、日本が農産物市場の開放を要求されている背景には世界貿易の偏りの問題がある。


日本は高度経済成長を土台にして70年代から貿易収支で黒字幅を拡大してきた。


一時は日本の大幅黒字に対して、主要先進国が軒並み赤字という時期もあった。最近では以前ほどではないが、日本は2002年で貿易黒字が世界第2位となっている。新大陸の農産物輸出国のうち、ブラジルやアルゼンチンは貿易黒字だが、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどは貿易赤字となっている。


これらの赤字の農産物輸出国は、日本から多額の工業製品を輸入しており、バランスをとるために、日本はもっと農産物を輸入すべきだと主張している。


また、インドネシア、マレーシア、中国など、工業化を進めてきた開発途上国の上位国は貿易黒字だが、開発途上国の多くは赤字であり、日本により多くの農産物を輸出して、貿易収支を改善することを期待している。


日本は高度経済成長以降、食料の輸入を増やしてきたが、国内農業を守るために、米、小麦、大豆、牛乳などの主要農産物については、国際相場よりもはるかに高い価格で農業者から買い取る制度や輸入制限を行ってきた。


最近はこうした政府の支援や保護を減らしているが、諸外国からは、完全になくして、工業製品の輸出の見返りに農産物をもっと輸入できるようにしろと要求されている。

食べることは人間に絶対必要なことである。

時代を少しさかのぼると、米の生産過剰か起きたのは1970年頃からで、それ以前では国民全体が十分な量を食べるだけの米を生産することかできなかった。


そして、栄養不良が身近な存在であった。


そうしたことを鮮明に記憶している世代は定年退職したか、それに近づき、食料難を体験したことのない世代が日本の中心になっている。
1960年頃から高度経済成長が始まったか、それ以前の時代には、農業の生産性か低く、多くの国民か農業に従事して、肉体的にきつい作業を行って、必死に食料を生産していた。高度経済成長を契機に、農業から商工業に人口移動が起きた。農業も技術を急速に発達せさて、生産性を飛酎勺に高めた。


おかげで少ない人手で農業を行えるようになった。全人口に占める農業人口は1961年に31%もあったか、2000年には4%にまで減少した。こうして、かつて多くの日本人は農業や農村と深いかかわりを持っていたが、今ではほとんどの人は農業や農村を遠い存在と感じるようになった。


食べることは人間に絶対必要なことである。

最近、0-157、BSE、ダイオキシンなど、汚染すれは食品を危険なものにしてしまう事件が起きたのに加え、無登録農薬の違法使用や食品の偽装販売もあいついで発覚した。


こうしたことから、食品の安全性に対する関心か急速に高まると同時に、安全な食品を安心して購入できるようにする、「食の安全・安心」の確保が強く求められるようになった。


日本は世界から多量の食料を輸入して、飢えの不安を感じることなく、飽食の時代を謳歌している。食料自給率は熱量へースで40%に低下している。このため日本人の多くは、生産過程を知らずに「食べる人」に徹底している。

農家の所得低下(農産物の価格低下)

~専業農家ほど減少~

 戦後、農家の所得をいかに上げるかが大きな課題としてあった。このため、戦後の食料難の時期に、政府は高い価格で主要農産物を買い上げて農家を支援する一方、買上価格よりも安く販売して消費者を支援してきた。


 大多数の農家が主食の米を作っており、政府は高い価格ですべてを買い上げた。これによって米の生産が急激に伸びたが、1960年代後半になると生産過剰が明確となり、1970年からは減反政策が導入され、1987年から政府買入価格が引き下げられた。1995年には食糧管理法が廃止され、新たに食糧法が施行されて、米の政府買上は備蓄用に限定された。

それ以外の米は入札や産直で価格決定されるようになった。


こうした経過を経て米価は下がり、生産コストを差し引いて米作りで得られる所得は、最近急激に低下している。
 米生産による所得は94年と比べて2002年には半分となり、経営規模の大きな専業稲作農家ほど厳しい状況におかれている。


 野菜作農家の状況も厳しい。野菜の輸入量は年々増え、1986年には66万tだったが、2002年には265万tに増えた。


野菜の価格は気象の影響もあって、年によって大きく変動する。それでも、施設栽培の多いキュウリ、ナス、トマト、ピーマンといった果菜類は比較的安定している。


他方、ハクサイ、キャベツ、ダイコン、ニンジンなどの路地野菜の価格は、1998年以降大幅に低下している。また、タマネギやネギも輸入圧力を受けてやはり低下している。

近隣国が日本の基準に合う高い品質の野菜を安い労賃で生産して輸出してくるため、野菜作農家も厳しい状況におかれている