国連演説でオバマはアサド体制から脱却した国民政府をという主張をしたが、プーチンは現政権を支援して混乱を乗り切るべきだとした。
アメリカのシリア反体制派への間接支援が、ISの台頭を許したことを考えれば、アメリカはこの混乱を収拾する責任の一端を担っている。そのオバマが傍観者のようにシリアに新体制をと国連演説してもそれは何の解決にもつながらない。
なぜか。それはアメリカが直接アサド政権を倒すのでなければ、アサド政権自身が新体制を設計して総選挙を行って退陣するはずもないからだ。
アサド政権を倒すなら、アメリカが大量の地上軍を送り込みアサド政権を倒しつつISも抑えこみ、暫定政府を樹立して、総選挙まで持っていかねばならないが、アメリカにはイラクのときのような気構えも心づもりもない。
なぜならばこの地域は石油は出るには出るが、原油価格の低下やシェールガスの産出によりもうアメリカは中東原油は要らないので、経済的な側面からシリアは別に欲しくない。イランの核査察が手打ちになればさらに原油供給力は上がるのでなおさらだ。つまりはオバマは何ら具体的に解決に向かわない絵空事を国連の場でスピーチしたことになる。弁護士や学者の弁であり、現実を見て主体的に考えている政治家、それもアメリカ合衆国大統領の弁説とは到底思えない低レベルなものだ。
アメリカが地上軍を送り込んでアサドを倒さないのであれば、アサド政権を逆に支援してISに対抗させ、平行して人権問題を改善させ、国民生活を安定させて難民流出を止めるしかないではないか。難民受入をアメリカも表明しているが、それは事後対策であり、発生原因を止めなければ何にもならない。ISが中東諸国を支配するまで難民圧力は減らないのは明らかだ。
ISを止めるにはイラクとクルド人部隊、無人機による精密な爆撃だけでは困難で、空爆後に速やかに地上軍を送り込むなど統合作戦を取らねばならない。中途半端な間接支援は問題を長引かせるだけだ。速やかに地上軍を送り込み、統制権を掌握してイラクシリアにまたがる地域を完全制圧するのが近道だ。
しかし現実的にアメリカはその選択肢は取れないので、次善の策としてはイラク正規軍、シリア正規軍に軍事顧問団を送り込み、兵員を再教育し、武器・情報機器を供与し、イラク・シリア双方の作戦を統制して地域を制圧していくしか無い。