日本で最も知られた昔話、と訊かれたら、皆さんは何を思い浮かべますか?
どんぶらこ~、どんぶらこ~。
私なら迷わず「桃太郎」ですね。桃から生まれた男の子、桃太郎が犬、猿、雉を従えて鬼ヶ島へ鬼退治に行く物語。幼稚園の頃に劇をやった事がある方も居るかも知れませんね。
ですが、ここで驚愕の事実を一つ。
先述の通り、絵本などでは桃太郎は「桃から生まれた男の子」として描かれていますが、昔の「桃太郎」では、桃太郎は桃から生まれてはいなかったのです。
「桃太郎」の物語のオリジナルが生まれたのは、室町時代後期から戦国期にかけてと言われており、桃太郎が桃から生まれていない物足りは、江戸時代に作られたものです。
むか~し、昔ある所に、お爺さんとお婆さんが暮らしていました。お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました――と、ここまでは私達の知る「桃太郎」とほぼ同じ。
お婆さんが川で洗濯をしていると、上流から、どんぶらこ~、どんぶらこ~、と大きな桃が流れてきました。
二つも。
あれ? ですよね。メジャーな「桃太郎」では、流れて来る桃は一つのはず。何故二つなのか?
お婆さんは二つの桃を持ち帰り、包丁で桃をパッカーンと割りましたが、中には男の子の姿などなく、瑞々しく美味しそうな果肉が詰まっているだけでした。勿論、割った桃は二人で美味しく頂きました。
すると……何という事でしょう。
お爺さん Before
↓
お爺さん After
お婆さん Before
↓
お婆さん After
皺で荒れていた二人の肌は、まるで熟れた桃の様に潤い、つやつやに。海老の様に曲がってしまっていた腰は、竹を刺したかの様にピンと伸び上がっていました。ボロボロで黄色かった歯は、芸能人顔負けの白さと歯並びを取り戻し、表情には若かりし頃の色気が甦っていました。
若返った事で、長らく忘れていた性欲も甦り、二人は早速子作りに励みました。桃の効能か、程無くして二人は元気な男の子を授かりました。
そして二人は名付けました。「桃太郎」と。
後はほとんど同じです。三匹の仲間をきびだんごで手なずけ、鬼ヶ島に乗り込んで鬼をメタメタに痛め付けて殺し、鬼たちが隠していた宝物をそっくり略奪、皆で仲良く暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし?