★★★★/★★★★★
(解説)
フリーターの姉・葉月と女子高生の妹・呼春は、母の佐和と3人暮らし。14年前に女の人を作って家を出て行ったきりの、父の記憶はほとんどない。ある日、佐和から「離婚したお父さんがもうすぐ死ぬから会いに行って、ついでにその顔を写真に撮って来てほしい」と告げられる。
(感想)
母と娘二人の3人の会話が面白い。
14年も前に女を作って出て行った父
そんな父との思いではかすかに残っているだけだった。
ほとんど記憶にない父に会いに行く娘二人のちょっとした旅
目的は、母に頼まれて写真を撮りに行くというもの
母は父にザマアミロと言いたいという気持ちだが、娘たちにはそこまでの気持ちはないようだ。
父の実家に付くと、父の弟さん(叔父さん)に温かく出迎えられる。
そして、そこには異母のちひろという弟がいた。
お葬式の終わり、最後の場面でも、二人は父に別れを告げようとはしなかった。
また、母から頼まれた父の写真も撮ることもなかった。
父との思い出もなく、顔も分からないとはいえ、実の父に対する思いが
これほども淡泊な娘二人
叔父から、焼き場まで行って見送ってほしいと頼まれる。
伯父さんから、そんな二人に
やはり兄のこと恨んでいるだね。
でも、最後なんだから、見送ってほしいと・・・
姉の葉月は何も言わなかった。
そんな姉と妹の呼春は帰りはじめる。
妹の呼春は、姉の葉月に不満を持ちながら
帰りの途につく。
父のことは、恨んではいない。母からそんな風には
育てられていない。そのことを、姉には言ってほしかった。
姉の葉月とは対照的な呼春の心境を描いているところが、
この映画のクライマックスだと感じる。