This is non-fiction. | ツギハギダイアリー Version2.0

ツギハギダイアリー Version2.0

輝いているフリをする、そんな生き物ばかりいる

「あれっ?」


レジを開けると、そこにあるはずの千円札と一万円札が姿を消していた。

その瞬間、事のすべてを理解した。

騙され、盗まれたことを。


これは今日起こった事実。

警察には「こういう経験はなかなかないよ」と言われた。

そりゃそうだろ!


いわゆるコンビニ強盗というやつだ。

いや、今日の事件は強盗というより、窃盗だ。


テレビのニュースでよく耳にするのは、手に凶器を持ち店員を脅し、金を奪って逃げるという手口のもの。

自分もコンビニでバイトをしている限り、そういう危険があるかもしれないと思い、「もしそうなったらどう行動するか…」と、シュミレーションしたこともある。


でも、自分が遭遇した犯人にはそういう強引さがなかった。

力よりも、欺くことに長けていた。


思い返せば、確かに怪しい人だった。

欧米人と思われる犯人は店に入るなり「アニョハセヨー」と言った。

この時点でもっと疑うべきだった。


あるビールの銘柄を片言の日本語で言い、「ケース プリーズ」と言った。

「6缶パックですか?」と尋ねると、「ノーノー、ケース」とジェスチャーで示してきた。


なるほど、24缶入りのケースが欲しいのか。

「そこで待っていてください」というと、彼はうなずいた。


彼の思惑通りに事は進んだ。

あとは店員がビールの入ったケースを取りに行っているあいだに、目的を果たすのみ。

そのサングラスの裏で、微笑んでいたのだろうか。


警察に状況説明をしながら、自分が殺気にあふれているに気づく。

悔しかった。

警察は犯人の容姿・行動について聴き終わると、僕と店長に”盗まれないための改善点”を説明し出した。

そんなためにあなたたちを呼んだんじゃない。

長い時間をかけて捜査依頼を書いたけども、それが果たしてどれだけ重要なものとされるのだろう。

ますます落胆した。


すべては信じきってしまった自分が間違いだった。



自分の生まれ育ったところは本当に田舎だった。

最寄のコンビニまで6kmぐらい。

そのコンビニがオープンしたときには、一生懸命自転車をこいで通ったものだ。

昼間は家に誰も居ないのに鍵をかけることもなく、財布を落としても数時間後に交番へ行けば落し物として中身そのままで手元に戻ってくる、そういう地域だった。


都会育ちの人にしてみれば、驚いてしまうだろう。

でもそれは、自分にとって当然のことで、ニュースで流れているコンビニ強盗事件など別世界の話のようだった。


実際に体感するまでは。



帰り際、店長は「この世界は悪い人ばかりだからな、気をつけろ」と言った。

そのとおりだと思った。


良い人が大半で、一部に犯罪を犯す人がいる。

その考えはどうやら間違いらしい。


こんな世界、早く滅びて消え去ってしまえばいいのに。



もし、もう一度自分の目の前に現れた時には、

覚悟しとけよ!!!