あれは忘れもしない、いつだったっけなぁ…
あっ、先週の水曜日だ。
仕事から帰り、身も心も疲れ果て押しつぶされそうな日常を生きる主役を意味なく演じる夕暮れ時、
突然、独特な裏声で叫ぶ母の声が家中に響いた。
母「洗濯機が…
ウンとも…
スンとも…
言わないの。」
俺「えっ…」
母「綺麗な蓋してるだろ…
ウソみたいだろ…
壊れてるんだぜ…」
俺は膝から落ちるように泣き崩れた。
明日から汚れた服も、ズボンも、仕事に着る作業着も、毎日の勝負パンツも、身も心も
洗濯なしではどうすることもできない。
川へ洗濯へ行くと、桃なんて流れてきたら大変だし、
コインランドリーに行くと、待つ間に雨なんて降ってきたら殺人事件が起こりそうだし、
まず、洗濯機は始めからウンともスンとも言わない。言うのはピーだ。ピーッ、ピーッも言う。
ピッと短く言う時もある。
とにかく、洗濯機に向けて50m先から助走をつけて振り落とした拳の意味なく
その洗濯機はウンともスンとも言わなくなった。
僕は決めた。
新しい洗濯機を買おうと。
これが倒置法です。
早速、電気屋さんに行き、店員さんを呼んで彼の急所を握りつつ、
弱みをちらつかせ値切り交渉をしましたが
危うく美人女性のオススメする部屋へ案内されるところでした。
少しでも安くしたい僕、つまり俺は、
健康保険証を出し、
「なんとかこれで一部負担になりませんか?」
と懇願するも意味はなく、
最終的には近くのドラッグストアのポイントカードをちらつかせるも値引きには至りませんでした。
そのポイントカードはスタンプあと1つで500円引きなのに。
そんな切磋琢磨している内に店員さんは、
壊れた洗濯機の処分代金分を値引きしてくれました。
もともとその洗濯機はセール品で安かった値段からの値引きだったので勉強してくださったと思います。
商売以上に親切にしてくれた店員さんには温かみを感じ、とても嬉しかくなりました。
そして僕は支払い後の帰り際、彼のお礼を告げ、急所を握りつぶして帰りました。


