初春の名古屋城のこと | 城郭模型製作工房

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城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

うーむ。ちょっと奇抜だけど嫌いではない…
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今年の始まりの画像は名古屋城でした。
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この写真をどうやって撮っているか種明かしすると…
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天守本体だけ。

しかも、初めからこのアングルしか考えていなかったので、裏の二面は未完成です。雨樋がありません。
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新年の写真は何にしようか、と悩んだ結果、名古屋城にしたのは昨年末このニュースがあったからです。

名古屋城天守の木造復元に向けて、竹中工務店が屋根の色や仕上げ方を4つ提案したということでした。

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記録にあるように「ちゃん」塗りにするか、銅板そのままにするか。ちゃん塗りにするならどの範囲まで…ということです。

その中でも私が一番印象的に感じた、最上階は無処理の銅板のバージョンを作ったのでした。
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30日の朝に急に思い立ったので、1日で完成させました。それでも窓には格子を入れています。
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年頭にあたって少しでも未来を楽しみにできるような写真を撮りたいと思い、名古屋城の木造復元天守の竣工時を想定した色合いにしてみた、というところです。
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同じアングルで何枚も…
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どれもよく見えてしまって我ながら親バカだなあと思います。
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撮影は新年までに31日の1日しかなく、それでも東から昇る初日の出をイメージした写真が撮りたくて時刻を変えてたくさん撮影しました。
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窓はランダム開閉にしています。これにも考えがあって…
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木造復元後は当然ガラス窓など入らないでしょうから、窓は夜閉めて朝開けるということになるでしょう。

天守の窓は約240を数えます。
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毎日全ての窓を開け閉めしていたら、係の人はそれだけで膨大な仕事になるだろうし…
古写真のようにランダム開閉の窓を見ることができればいいなという思いも込めつつ。

「ちゃん」塗りの色合いも難しかったです。
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「ちゃん」塗りはほとんど失われたような技術です。最近では出雲大社の修復時に科学分析が行われ、もともと施されていたちゃんの成分が明らかになりました。

写真を見てみると、黒っぽいのですが、真っ黒ではなく、なんとも言えない色合いで、重厚なツヤがあります。

このような真新しい姿で、眼前に聳える日が待ち遠しいですね。
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あ、ちなみに使用したのは童友社のプラモデルです。

【蛇足】
なぜ屋根の色で4案も出てくるのか報道から推測して乱暴にまとめると

●名古屋城の天守は創建時、一重目から四重目までが土瓦、最上階だけが銅瓦であった。(この最上階の銅瓦にちゃんが塗られていたかどうかは不明)
●宝暦の修理で二重目から四重目までを新たに銅瓦とした。この時新たに銅瓦となった二重目から四重目までにはちゃんが塗られた。(もとから銅瓦であった最上階はどうしたのか不明)
●ちゃんも経年変化で最終的には現在のような緑青の屋根になる。

ということで、
①記録で確実な二重目から四重目までをちゃん塗り、最上階は不明ということで無処理銅板という案が出てきます。
最上階もちゃん塗りだっただろうと推測すれば②二重目以上は全てちゃん塗りだったという案になります。(ただしよく考えると宝暦の修理の際、最上階はすでに緑青がふいていたでしょうが)
③どうせ緑青に覆われるのだから全て無処理で
④いや、せめて記録があるのだから破風だけでもちゃん塗りに…
で四案なのかな?
天守の姿は刻々と変化し、古い部分と新しい部分が混在したりしていますから、後からある特定の時点を決めて、その時点の姿に忠実に新築することは難しいということを感じます。
【蛇足ここまで】



そして話は変わり、彦根城天守、少しずつ下塗りに入っています。
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