これを機会に、なかなか製作記事では触れることのできないことを未公開カットとともに書いてみます。
大変有り難いことに、製作のご依頼をくださる方、ご購入下さる方は、皆様ものを見る目を持っておられる方、私の製作の意図を深く感じて下さる方ばかりで、毎回が常に真剣勝負です。
もちろん、ヤフオクに出品していた頃も毎回が全力投球で、改めて過去作品を自分のギャラリーで振り返ってみると、自分の成長過程が手に取るように分かり、拙作をご希望下さった皆様の目に育てられ、メッセージやメールのやり取りの中で力と自信を頂いたことを痛感します。
そしてやはり、ヤフオク時代に実際に手にとって見られた方やブログをご覧になってご依頼下さる方が、次はこれと再びご注文下さることも嬉しく、ご満足いただけたのだなということが分かると同時に、常にご期待以上のものを、とこちらも張り切りますから、私の技術も少しずつ向上していると思います。
もう一つ基準として、アップの写真に耐えられるということも目安にしています。
昨日頂いたコメントに、同じものに見えない、というお言葉がありましたが、実はそれには仕掛けがあります。
簡単なことですけれど、他の方がやっていることをやらない、ということがひとつ。
これは実は奥が深いのです。他の人がやらないことを「やる」のではなくて、他の方がやることを「やらない」というように「やらない」方にウエイトを置きます。
資料を精査するとか建物の背景を学ぶ、現地に行くというのは、これは前提です。
「やった」ことは見えますが、意識的に「やらなかった」ことは見えませんから、ここで差がつきます。
ですから、島さんはドライブラシ使いませんね、とか、ウォッシング(拭き取り塗装)をしませんよね、とか、スミ入れほとんどしませんね、と言われると、おっ!と思います。
逆にドライブラシとか、ウォッシングとか、スミ入れとか、プラモデル塗装のテクニックを使うと、一気にプラモデルらしいものができます。プレミアム姫路城の作り方の記事で作ったものがまさにそれでした。
今度ヤフオクに出すことがあったら、「ドライブラシやウォッシングによるウェザリングは一切使用しておりません」という説明を入れてみましょうか(笑)
反響のあった名古屋城の石垣も、色を塗る際には筆にたっぷり色を含ませた状態でのせています。
それでも場合によってはドライブラシやウォッシングも使っています。しかし重要なのは、「どこに使ったのか分からない」ということ。そして全体として「どうやっているのか分からない」ところまでいくと、これが最終目標かな、と思います。
舞台でも、観客に分かる演出はダメだと聞いたことがあります。例えば照明では、見る人が分からないくらいの範囲でちょっと明るくする。見ている人が、自分の心が高揚したから明るく見えたのかな、と錯覚させる。客席の鋭いほんの何人かが、あ、照明でいじったな、とタネに気づく。
模型も、目指すとこは、どうやって塗装しているか丸わかりのものではなくて、何これどうなってるの?というものを作れるようになりたいですね。
ですから、お目が高いご依頼主様にご満足いただけるよう、毎回あの手この手で前作を上回るものを、というまさに真剣勝負の場をいただけることに心から感謝しております。