駅を出てすぐの交差点で男の人に声をかけられた。
荷物をずた袋でズルズルと引きずるように持って、
どこかちょっと、精神的におかしそうな様子だった。
「県庁は?どこですか?」
「県庁ならこの道をまっすぐ行けば突き当たりですよ。」
「歩くのは嫌だな、疲れちゃうよ。」
「そんなに遠くないですよ。すぐ着きますよ。」
話が終わったらすぐ離れていくのかなと思ったら。くっつくように隣を歩いていた。
次の交差点で信号待ちが長く、また話しかけられた。
「実は俺。刑務所から出てきたばっかりなんだよ。なんだか手続きしなくちゃいけないっていうからさ。保護観察とかなんとか言って、なんか保護司と会うらしい。」
「えっ!」
「栃木の喜連川(きつれがわ)。3年の実刑受けてさ・・もう懲り懲り」
「へえ~~、何したの・」
「自転車盗んで、執行猶予受けてたけど、またやっちゃって。俺、子どもいるんだけどさ、ずっと会ってないし
この手続き終わって、またしばらく会えないみたいだよ」
「・・・・・・、じゃあ、県庁じゃなくて検察庁じゃないの・」
「あっそうそう。それ。おかしいな、何度もココにきたことあるのに、覚えられなくて」
話ながら歩いて、検察庁の前に着いたら、ごくごく当たり前のように慣れたように
男はするっと中に入っていった。
私はその先の裁判所に行く。
駅からずっと男と歩いてきた。。。刑務所帰りの男。
もう二度と刑務所は嫌だと言っていたが、処遇はそんなに悪くないらしい。
作業で3万5千円ほど稼いだらしい。何でも贈答品のフルーツに当てる梱包材を作る作業らしい。
いくら何でも、まさか刑務所帰りの男と10分以上も話ながら歩くとは・・
人間は生まれてきて死ぬまで、みんながまともに生きていけるとは限らない。
どこか障害があって、でこぼこな人生を生きなきゃいけない人もいる。
どんなことがあっても、犯罪を犯しちゃいけない。
本日の裁判傍聴は、公立中学の先生が14歳の生徒と不同意性交渉をし
懲戒免職。懲役5年
嫌な世の中