※電気自動車詳細

日本国内での電気自動車の筆頭車両、日産リーフの実際のユーザーのレビューを例にすると、普通充電で100%充電にするには12.5時間必要で、勤務後自宅では翌朝まで可能ですが、勤務先では勤務時間内では満充電は不可能。

※後述の急速充電は家庭設置用充電設備では不可、充電ステーション設置充電器でのみ可能。

その100%充電での巡行距離は、カタログ上は400kmとなっていますが、エアコン、ヒーター稼働、登坂路等、実際の運行状況では大きな開きがあるようです。

停止するまで走って見たと、通常あり得ないレビューで250km、とありましたので、充電インフラを探す余裕を見て、安心して走行できるのはカタログ値の約半分、200km程度かと。

一般ガソリン車両との比較で、同格の同社日産ノートは燃料タンクの満タン容量は約45L、給油警告ランプがつくのが残量5L 程度、消費40L での巡行距離は、こちらもレビューの平均ですが、なんと700KM、電気の約3.5倍、残量5L での巡行距離80Km 以上を残しての値です。

前述は12.5時間の普通充電での値で、リーフの現実的な充電、走行パターンは、レビューの大半を占める、30分の急速充電、表示充電率70%から100km走行毎、のようです、100km走行時の充電残量は20%、70%~20%の間50%充電量を使い100km走行、となります。

巡行距離問題は、通勤や居住圏のインフラを把握した範囲であれば全く問題はないと思われますが、旅行、出張等で初見の地への運用には、1度の巡行距離100kmでは、事前の地図やナビでのインフラ確認が必須となります。

充電時間の問題は、長距離出張と仮定して、大阪市内から東京都心まで約550km、通常のガソリン車でノンストップで6時間30分、食事、トイレ休憩を約1時間プラスして平均所要時間が7時間30分、対して電気は5回の30分充電が必要で、総充電所要時間が2時間30分、休憩を十分にとる、安全な運航スケジュールとは言えますが、東京まで9時間を要す行程となります。

上記の大阪東京間の走行をコスト面で見ると、30分の急速充電平均価格は1650円、5回の充電で8250 円、50kmの走行残量をマイナスして、7425 円。

対して平均的な燃費14km/Lの既存ガソリン車で、同距離を走るには約39L消費、ガソリン平均単価150 /Lで5850 円、ガソリン車に対して電気車両は約20%高コストとなります。

巡行距離の目標は、昭和高度成長期に自動車メーカーが目標とした、ガソリン車両で大阪東京間を満タン無休油走破、が基準となるのではないでしょうか。

約半世紀を経て令和の新時代に次世代車両の安心基準、満充電で大阪東京間走破の巡行距離550kmを実現するには、更に大容量で軽量、コンパクトなバッテリーが必要となります、それも急速充電で、となります、バッテリーへの要求性能は現在の5倍以上、故に開発に要する時間は、まだ相当長期的な予測となります。

更に前述は急速充電30分を想定しています、ガソリン車40L 程度を満タンに要する時間はわずか5分程度、仮に充電時間目標を10分と見立てても、現在の1/3とかなり高い開発ハードルとなる事も相まって、さらに開発時間が必要となります。

では、既存ガソリン車と同等の充填時間を可能とする、インフラのシステムは無いのでしょうか、現実的に最有力と思われる方法は、バッテリーカートリッジ形状を統一する事です。

1個体サイズを女性や子供でも持ち運べる程度の重量、大きさとし、車格によって搭載個数を考慮しメーカー毎に車両設計をします、仮にガソリン車での3000ccクラスには、カートリッジ5個、軽4クラスであれば2個と、インフラステーションには充電済バッテリーカートリッジが多数準備され、放電済カートリッジの返却個数分の、充電カートリッジが購入できるシステムです、バッテリーカートリッジ本体は通函とし、内部充電電気を購入する型式です。

しかし同形式には課題も多く、性能にもつながるバッテリーの統一への自動車メーカーの賛同が得られるのか。

バッテリーメーカー毎の性能利権、仮に高性能(高巡行)の物を現在のハイオク的な高価格で販売すると、通函回収は別バッテリーとなる為、回収目的で交換に同型を限定すると、メーカー毎の性能に対する固有色は出せますが、インフラ拡大の妨げになります。

逆の補償問題もあり、破損や紛失、ライフサイクル交換の費用補填も課題となります。

電気自動車のインフラに係る不安要素を消費者から取り除くのには、まだ30年近くかかると思われており、更にその時点2050年でも普及率は50%に満たないのではないかとの見解です。

 

第27回 改めて原点回帰 今こそ化石燃料内燃機関を見直す必要が?-5に続く