【後述】

2022年7月31日のイギリス紙による報道には、イギリス政府が2022年内の法案化で、2030年化石燃料車両の販売禁止を実施する決定を下す意向であれば、トヨタはイギリス国内工場を即刻全て閉鎖する、との表明、イギリス国内の産業、雇用に大きな影響を及ぼす、ある意味脅迫ともいえる内容です、それに対しイギリス政府はハイブリットには特例措置で5年延長ではどうですかと、まさかの小手先のイタチごっこ、電動、水素燃料電池の推進の先陣を切っていたトヨタが?

同様の問題はこれから世界各国に派生すると思われます。

 

更に技術面でも、2022年度、日野自動車の排ガス、燃費に係る大規模なデーター偽装が明るみに出、自動車産業に激震が走りました、傘下であったトヨタも早々に手を引き、同社は倒産の危機に直面しております、何よりの問題は同社が偽装した排ガス、燃費を基準値に引き上げる技術を持ち合わせていないのではないかと思われる事にあります、しかし同問題は日野に限った事ではなく、全ての大型トラックメーカーにも当てはまる事ではないのか。

この問題へとつながる発端は、石原東京都知事の就任時期にさかのぼります、東京の大気汚染を改善し都民の健康を守るため、都は1999年8月から「ディーゼル車NO作戦」を展開しました、翌2000年12月の都議会において、国に先行して厳しい独自のディーゼル規制を柱とする「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)」を定め2002年9月より、条例に基づく規制内容の周知と大気汚染のいっそうの改善を目指して、「違反ディーゼル車一掃作戦」を開始し、2003年10月からは、環境確保条例に基づく粒子状物質排出基準を満たさないディーゼル車の都内走行が禁止されました。

しかし環境確保条例に定められた排ガス基準値はあまりにもハードルが高く、全トラックメーカーの既存技術では即時対応が出来ないレベルでした、当然ながら首都圏での施行は全国へと派生し、認定基準に達することが出来ない、各トラックメーカーの生産が一時ストップする事態へと及びました、同報告を受けた国土交通省では、トラック産業崩壊の危機を脱するための救済策を講じました、東京都の基準値に準ずる、排ガス基準値をクリアした?国土交通省の認定排気装置をシリアルナンバー登録化し、同品の装着車両は東京都の環境確保条例の適合車両とする!

各トラック専業メーカーでも到達できない排ガス基準値を国土交通省では簡単に達成できるのか?そんなことはあり得ません、実際同認定排気装置はメーカーでは製作されてはおらず、国土交通省から天下った企業により製作生産された排気装置を、トラックメーカーに供給しているのです、本当にテスト、測定はされているのか、そうであれば現在黒煙や白煙を排出して走行しているトラックは無いはず、何より今回の偽装内容に同排気装置も含まれている事から推察すると、技術革新ではなく、認定を売買している?、ある意味自社開発の選択すらできないトラックメーカーも被害者かもしれません、故に各メーカーでの自社開発はストップしてしまったのでしょう、現在の排ガス規制に適合できる技術を自動車メーカーが有していない経緯、まさに由々しき事態であります。

 

余談とはなりますが、現実として見逃せないのが、世界的にゼロカーボン、化石燃料撤廃の大きな流れの中、自動車ではありませんが、近年イギリスに導入された最新鋭の新幹線、もちろん動力はモータ―ですが、電力供給は架線ではなく、車両に搭載された化石燃料発電機からなのです、これは実は珍しい事ではなく日本国内でもJRのローカル線では未だディーゼル機関車が走っております、ディーゼル機関車と言えばディーゼルエンジンの出量をそのまま動力に使っているイメージですが、実はディーゼルエンジン発電機を搭載していて、その電気でモーターを駆動する半電車なのです(日産e-powerと同様の方式)、なぜ未だに?その理由は架線工事にかかるコストは莫大で、ローカル路線の採算ではそのコストを償却できないからなのです、さらに驚くことに日本国内のJRの全鉄道路線での電化率はまさかの55%、つまり残り45%の路線ではディーゼルエンジン発電機を搭載した車両が運行しています、冒頭の公共交通機関、鉄道も都会を除く地方都市では半分近くが化石燃料鉄道に依存している事となります。

更に電力供給の基、発電所、脱原発の流れから火力発電への移行が進み、総発電量の76.3%が化石燃料発電に依存しています、ロシア内戦等の影響も加わり、石油・ガスの安定確保が難しくなり、昭和40年代に公害問題で姿を消した、石炭が再注目され現在国内では約30%が石炭火力発電に依存している、とまさに時代に逆行しています、日本のみならず世界的にも火力発電燃料石炭化への逆行は加速しており、ヨーロッパ諸国では石炭の確保、取り合いが頻発しているとの報道もあり、全てにおいて脱カーボン、脱温暖化、化石燃料撤廃、表向きの建前と起こっている現実があまりにもかけ離れています、もちろん電動化への開発研究は大事ですが、勇み足を通り越した各国の対応を根本的に見直し、橋渡しにはまだ数十年、ともすれば半世紀以上要する可能性もありうる状況を踏まえ、安心して電動化への橋渡し期間の核となる、化石燃料の時代に沿った正しい活用法こそ、現在早急を要す研究開発案件であることを認識して行かなければなりません。

 

第26回 改めて原点回帰 今こそ化石燃料内燃機関を見直す必要が?-4に続く